2007年3月13日

居酒屋甲子園

ライブドア・ニュース記者として最後の取材に行った。場所はパシフィコ横浜。日本一の居酒屋を決める「居酒屋甲子園」決勝大会だ。

06年末から居酒屋の取材を始めた。あまりに満足度の低い店が多いという感想を長年個人的に持っているが、一方でごくたまに居心地のいい、気持ちのいい場所に出会うこともある。チェーン店にはマニュアルでしか動けない店員があふれ、“こだわりをもったオヤジ”がいる店がどんどん減っている。居酒屋と言う文化に誇りを持つ人たちを探し、特集記事で取り上げようと準備をしていた。

残念ながら、その記事を書くはずだった場所は消滅した。しかし、すでに予定していた取材にだけは行くことを決めた。記事を発表する場はなくとも、居酒屋についてのひと通りの取材を終わらせておきたかったから。

そんなわけで居酒屋界では名高い「てっぺん」の大嶋啓介社長に会い(2月9日)、今日は彼が主宰する「居酒屋甲子園」に行ったというわけだ。

大嶋さんという人は、終始にこやかで大変魅力的な人物だった。渋谷の東急ハンズに近いルノワールで、名刺交換の直後から靴を脱ぎ、ソファに胡坐をかいたのには少し驚いたが、全くイヤミを感じさせなかった。取材する側の僕がメモを取るためにノートを用意すると、される側であるはずの彼もノートを持ち、思いついたことや“いい質問”をどんどんメモしていく。アイデアをカタチにするために、常に臨戦態勢という感じだ。

居酒屋甲子園の理事長である彼は、パシフィコ横浜のホールで、開始前から客席をまわり、「来てくれて本当にありがとう」と声をかけていた。大会のほうはというと、倉敷天領太鼓で開会が宣言された後、昼食の時間もはさまずに、全国から選ばれた6店舗が、それぞれの魅力やこだわりについてプレゼンテーションをした。店の誕生秘話やそれぞれの思い、オーナーやメンバーの個人的な感謝の気持ちなど…プレゼンだけで5時間以上あったにもかかわらず、全く飽きが来なかった。こんな熱いイベントは見たこともない。そして閉会の挨拶で、5000人の聴衆を前に、ルノワールで僕1人を相手にしたときと同じように振舞う大嶋さんの姿にすっかり感銘を受けた。

舞台の上で発言した人たちは、僕が今までほとんど会ったことのないタイプの人たちだ。というか、稀にそういう人はいるが、そういう人が集まる場所に行き当たることがほとんどなかった。これまで見たことのあるクールな人がすべて格好悪く思えるほどの、エネルギーの塊がそこにあった。単にでかい声で張り上げているだけではなく、心のこもった言葉を発して行ける人たちがたくさんいた。

とても不思議で、魅力的な空間だった。夢を語り、感謝の気持ちを心から表すことで、自分たちのチームを作っていく。今日聞いた話は、これから僕が作るチーム作りに大いに参考になるものだった。


大嶋啓介『夢が叶う日めくり』