2004年9月 4日

鈍行の旅

鈍行を乗り継いで広島に来た。途中、大阪でブラッドフォードでの同級生Mくんの実家で一泊お世話になった。ありがとうございました。

鈍行の旅はかなり久しぶりだ。大学生のときは休みの度に鈍行を乗り継いで日本各地に行ったものだが、この数年は長距離移動は専ら飛行機か新幹線を利用していた。今回、鈍行での旅を決めたのはほとんど衝動的だった。あまりに長い間修士論文の執筆のために室内にこもらざるを得ない状態にいて、疲労感を感じながらウトウトしてしまったとき、なぜか列車に乗っているような感覚を覚えた。そして、できるだけ長い時間をかけて移動したいと強く思ったのだ。おそらく引きこもり生活の反動だろう。

鈍行の旅は素敵だ。ゆっくり流れる車窓はいつどこを見ても飽きない。草木や海を見て季節を感じる。
特にすることがないというのは魅力だ。何も妨げるものがないので、読書をすればかなり集中できるし、思索を深めることもできる。老人と何気ない会話をするのもいい。こういう時間を取ること自体が精神衛生上とてもよい。

そんなわけで、二日間の合計約13.5時間の豊かな時間を楽しんだ。


広島到着後、メールを開けると嬉しいニュースがあった。
二ヶ月も僕を放置した修士論文のスーパーバイザーが、僕が送りつけた論文を読んで感想をくれた。ものすごく短い数行のコメントであったが、その評価は「この論文は"lucid"である」と。時間が迫ってるので割り切って今まで以上にやっつけ仕事をしてしまったという自覚があったので、メールを開けるまでものすごく怖かったが、このコメントをもらってほっと安心できた。真剣に見直して完成させようという強い意欲が湧いた。

僕の論文のテーマを聞いただけで頭ごなしに否定し、絶対アカデミックにはなりえないとまで言ったスーパーバイザーの考え方を少しでも変えられたのではないかと思う。

人の価値観を変え、視野を開いていくことは平和の実現には不可欠なプロセスであるから、このスーパーバイザーから勝ち得たコメントは一生の宝ともなるだろう。彼女は決して僕の主張を受け入れないのではないのかと危惧し、スーパーバイザーの変更を大学に依頼しようと真剣に考えたこともあったが、そのままチャレンジしてよかったと心から思う。