4日目(20日)
4−4

最後の晩餐(ホテルにて)と夜のプールサイド

 ホテルに着く。なんとなくみんなだらだらした後に食事。最後の晩餐ということでホテル内にあるレストランで「バリ」料理を食べることにした。レストランに入ろうとしたら父は受付のウェイトレスに止められた。短パン姿の父はレストランの「ドレスコード」に引っかかったのだ。仕方なく着替えに戻ろうとする父にウェイトレスが

「腰に巻いてください」

と、茶色いレースを渡した。バリの正装は腰に巻きスカートをすればOK。上はTシャツでも良い。
7分丈のパンツルックだった俺はセーフだった。

 そこのレストランの料理は、そのまま焼いたものだった。それ以外あまり覚えていない。食べ物の名前が分からないせいかあまり印象に残らない。おいしかったという記憶もない。バリ最後の晩餐はなんとなく終わってしまった。

バリの「正装」をした父
母は耳にハイビスカス
 食事の後、夜のプールへ向かう。「お風呂」代わりではないのだが、プールのそばに屋外ジャグジーがあって、そこでいい湯だな、気分を味わいたかったのだ。入ってみる。ものすごく熱い!ジェットバブルを避け、日焼けした肩の部分を湯につけないように中腰で浸かっていた。温泉と一緒で、お湯になれると気持ちよさからか「あー」とため息のような声が出る。アサコも入ってきたが熱いらしくすぐに出てプールサイドのベンチで横になっていた。

プールサイドにあるドラゴン
数分おきに口から水が出る
 しばらく入っているとスパニッシュ系の美男美女のカップルがこっちに向かってきた。背の高い黒髪のダビテのような顔の男と、モデルのような身体のきわどい黒ビキニを着た女。ちょっといやな予感がした。

 その予感は当たってしまい、一人独占していたジャグジーに入ってきたのだ。しかもイチャつき始める。外国のポルノ映画を見ているような気分。さっさと出たかったのだが、出口あたりでいちゃついているため、そのチャンスを逃す。熱いお湯だったため彼らはすぐに上がりプールに飛び込んでいった。

 なんだかちょっと劣等感を感じながらも引き続きお湯に浸かっていると今度は4〜5歳くらいの女の子と1歳くらいの赤ちゃんがいる白人の家族連れが入ってきた。お父さんらしき人はK-1に出てきそうなたくましい体でスキンヘッドに腕に刺青。お母さんらしき人は普通にいそうな太めの白人女性。あまり広くないジャグジーの隅っこで家族の様子を観察していた。お父さんにお湯をかけてはきゃっきゃとはしゃぐ女の子。それにうれしそうに付き合うお父さん。みんなに合わせて手を上下に振っている赤ちゃんがとてもかわいい。英語で話しかけようかなあ、と思ったらフランス語?らしく、会話の内容がさっぱり分からなかった。

 
やっぱりジャグジーから出る機会を失い、少しのぼせてしまった。プールで火照りを取りベンチで横になる。赤道直下でも夜は風が吹くとちょっと寒い。湿度が高いせいなのか、ガスで星があまり見えない。タオルに包まりながら揺れる椰子の木をボーっと見ていた。


 しばらくすると横に並んだベンチにさっきのカップルが横たわる。相変わらず囁くように愛を語っている。ひとつのベンチに二人より沿い始める。ドキドキしながら寝たふりをしていた。今度はさっきの家族連れが後ろのベンチでくつろぎ始めた。するとカップル達が夫婦に話しかけ始めた。英語で。「子供かわいいですね」みたいなことから会話が始まり、お互いの出身を話し始めた。

 カップルはどうやらプエルトリコから来たらしい。家族連れはカナダから。バリのあそこが良かったというような会話をしていた。簡単な英語なのに話せないもどかしさ。こういうときにいつも「英語を勉強しなきゃ」と思うのだが、すぐにその志を忘れてしまう俺はいまだに話せないのでした。

 気がついたら彼らはいなくなり、アサコがいた。「暇だー」と言いながらうろうろしている。それに付き合うようにアサコの写真を撮ってみた。そのうちアサコよりも夜のプールの写真を撮りたくなり、ホテルの庭を一人うろうろした。


 父は母に付きっきりで泳ぎを教えている。この数日でプールの端から端まで泳げるようになったと喜んでいる。トモキは対岸でウォークマンを耳にしながら一人本を読んでいる。こんなにのどかな気分になれたのは久しぶりだ。最後のバリの夜。そんな感じで最後の夜は更けていった。

かがり火とアサコ
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