2005年7月15日

明学で「旅と平和」を考える

国際学部学生、“ユーラシア大陸3度横断”佐谷記者招き議論

「視野を広げることで意識が変わる」と明学大生に話す佐谷恭記者(右奥、撮影:徳永裕介)ライブドア・ニュースの佐谷恭記者が14日、神奈川県横浜市の明治学院大学に講師として招かれ、「旅と平和」について学生約20人と語り合った。

 佐谷記者が招かれたのは国際学部の平山恵・助教授のゼミ。佐谷記者が英ブラッドフォード大学平和学部の大学院在学中に書いた「旅と平和」に関する論文を、2年生がゼミ選考の課題として読んだことが縁で、今回の開催になった。

 まず、佐谷記者は平和とは何かと問いかけ、「日本は現在、戦争はしていないが、自殺者が年3万人もいるなど、戦地とは違う危険がある」と指摘。一言に平和といっても、戦争がないだけの状態から貧困や差別など「構造的暴力」もない状態までさまざまなレベルがあることを説明した。その上で「停戦協定を結べるのは国家だけだが、お互いの融和をもたらすことができるのは草の根の交流だけ」と話し、手段としての旅の有用性を説明した。平和とは特定の状態のことではなくプロセスのことで、旅には人の意識をよい方向に向ける力があるという。

 学生からは「現地の人とコミュニケーションをとるためには、言語の壁があるのでは」「英語を話せない日本人が、現地の人と仲良くなるには」など、質問が相次いた。ユーラシア大陸を3度横断するなど世界を旅してきた佐谷記者は「接点を持つことで気付くことがある」と答え、「視野を広げることで意識が変わる。一人ひとりの動きが社会を変える」と学生にメッセージを送った。

 最後に佐谷記者は、放っておくと荒れてしまう森林に人の手を加えると環境が改善することを例に「地域社会も同じ。放っておくと荒れてしまうが、観光をてこにその地域のよい面がさらによくなるよう手入れができばいいと思う。この“手入れ”という言葉を(ノーベル平和賞を受賞した)マータイさんの“もったいない”に続く流行語にしたい」と締めくくった。【了】

ライブドア・ニュース 徳永裕介

2005年6月15日

Monthly Leader Episode8

今月のマンスリー・リーダーは国際経験豊富な佐谷恭氏にこれまでの海外経験をふまえ、国際人、旅の醍醐味について語ってもらいました。

Interview

★★Profile 佐谷恭(さたにきょう)★★
1975年神奈川県生まれ、京都大学卒業後、富士通入社、その後環境系ベンチャーの営業体制立上げに参加、英ブラッドフォード大学院(平和学)修了後帰国、現在ライブドア・ニュースセンターの記者として活躍。


豊富な国際経験を生かし、現在メディアの更なる可能性を模索する佐谷さん(東京六本木にて)- 旅の醍醐味とは何でしょうか?

訪問する国に対して持っていたイメージが覆されること。
これが旅の醍醐味だと思います。

行き先に対して何らかのイメージを持って訪問しますが、それを確認するだけでは、本当の旅の醍醐味を感じていないと思います。
例えば、ガイドブックを見て、掲載されている写真と同じものが眼前に現れたとき、その壮大さや歴史の深さに思いを馳せることはできます。しかし、その日でも、1年後でも同じ体験がその場所でできるとすれば、その感動は限定的だと思います。

一方で、どこかへ行って、そのときにしか見られないもの、会えない人に会えたときの喜びは忘れがたい。偶然出くわした自然現象、たまたまいた現地の方、同じようにそこを訪れる旅人との「出会い」と、そこに流れる時間は、事前に予定されたものではないからこそ、面白いのです。

さらに、そうした「交流」を経て、その地域や文化について認識を改めたり、偏見を解消したりすることがあります。偏見や先入観が否定され、いい意味で裏切られたときの驚き、それこそが感動で、そうした感動を得られことが旅の醍醐味です。

ポルトガル・ロカ岬で結婚式。58名の友人が世界中から集った。- これまで世界各国を回られあなたが学んだこと、これから学ぶことは何だと思いますか?

旅を通して、自分の目で見ることの重要性と、真実と嘘の相対性を学びました。これは僕にとっての大きな財産だと思っています。視野を広げることができた。
さっき言った意味での「感動」は自分の足で歩いて、 自分の目で見ることでのみ得られます。この体験は非常に重要です。

こうした体験により、視点によってものごとの捉え方が変わることを強く感じ、真実とか嘘とかは相対的なものでしかないと気づきました。
他人とコミュニケーションをとるときに、この認識は非常に役に立ちます。腹が立ったとき、誤解されたとき、伝わらないとき。自分の視点からだけでなく、相手や第三者の立場に立って捉えなおすことで、複数の解決策を思いつきます。

旅をすることは視点を増やすこと。それには限りがないので、これからもたくさんの人と出会い、いろいろなものの見方を学びたいと思います。

イギリス留学先から日本へ戻る直前に企画した「G-day」パーティー。- 最近国際貢献という言葉をよく耳にしますが、佐谷さんにとり、真の国際貢献とはどのようなことを意味すると思いますか?

うーん。難しい質問ですね。
日々の活動をするときに「国際」という言葉を意識しなくなることではないでしょうか。旅行でもビジネスでも、最近は純粋に「非国際的」であることはほとんどありません。
しかし、「国際」という言葉が氾濫していることからも分かるように、異文化との交流にどうしても身構えてしまっているんですよね、自分も含めて。

この活動が国際的だとか、自分は国際的なことをしてるんだと言っているうちは「真の」国際貢献はできないと思います。「国際」を意識せず、普通に生活することが「真の」国際貢献ではないでしょうか。「国際人」を名乗る人は、アヤシイと思ったほうがいいですよ(笑)。

- ユニークな人生を送られていますが、これまで歩んできた道を是非話して下さい。

小さい頃から実家でホームスティの受け入れをしていたので、さまざまな地域から来た人と話したり、珍しい料理を食べる機会が多くありました。大学に入り自立した生活を送るようになったとき、 自然な流れで旅を始めました。

大学時代は長い休みのたびに旅をしました。しかし、「旅行中」だけでなく、日本にいるときも、刺激的な人と出会い、面白いことを見つけ続けたいと感じ、それを実現するために「BEEMAN」という旅人のコミュニティーを作りました。
旅を「現実逃避」のものとして捉えるのではなく、「日常生活」の一部だと捉える考え方を思いついたのはこれがきっかけです。

もう一つのワールドカップ大学を卒業後、大企業とベンチャー企業で仕事をしました。休みなどを利用して旅を続け、訪問国数は40を超えました。2002年に「もう一つのワールドカップ」と称して、行く先々で知り合った人たちとサッカーをしながらシルクロードを旅したのですが、その道中で、自分がいたすぐ近くで中国の外交官が射殺されるという事件があり、それを機にさまざまな旅人と国家や平和について語りました。
その時、旅での経験を単なる楽しみのレベルから、人生のすべてに引き上げるために、勉強したいと思いました。

それから世界中の大学院について調べようと思ったとき、たまたま出会ったのが「平和学」という学問でした。「平和学」が提唱する積極的平和の概念(紛争が「ない」状態<消極的平和>が平和なのではなくて、紛争がない上に、人権や個人の自由が「ある」状態を(積極的)平和と定義する考え方)に魅力を感じ、その学問を学部から博士課程まで体系的に教える最初の大学であるブラッドフォード大学の大学院に入ることに決めました。

平和学部で学んでいるとき、日本とイギリスのメディアの違いに愕然としました。「自己責任論」など日本のメディアの異質性が話題になり、大学院のゼミなどでも日本のメディアについて議論しました。
イギリスから帰国した直後、「メディアのあり方を変える」という触れ込みの募集広告がありました。「なんてタイムリーなんだ」と思い、そのプロジェクトに参加することにしました。
プロジェクト開始からまだ半年ですが、手探り状態で メディアの可能性を模索する毎日を過ごしています。

僕がウェブサイトで情報発信を初めて今年で10年になります。文章を書き、人に考えを伝えることをずっと続けてきたのですが、職業ジャーナリストになった今、さらに的確に僕なりの視点を提供していきたいと考えています。【了】

※ BEEMANet: http://beemanet.com/

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