2006年12月15日

進まぬ拉致認定にいら立ちも

14日、「拉致問題を考える国民の集い」を終えた後、多くの人が拉致被害者の昔の写真に見入っていた拉致問題を考えるイベント開催進む

政府が認定するかしないかでは、天と地ほどの差がある――。国が今年6月に定めた北朝鮮人権侵害問題啓発週間(10日-16日)の今週、政府やNGOが北朝鮮による拉致問題を考えるイベントを多数開いている。民間団体「特定失踪者問題調査会」が拉致された疑いを否定できないとする行方不明者のリストは約460人に上るのに対し、政府が15日現在で“認定”している拉致被害者はわずか17人。北朝鮮による拉致が国際的に広がりを持っていることが明らかにされてきた昨今、特定失踪者を拉致被害者として“認定”し、北朝鮮の国家犯罪を早期に解決して欲しいという声が相次いだ。

 調査会がリストに挙げている460人のうち、何人が北朝鮮に連れ去られたかは明白ではない。13日に拉致被害者家族会などが主催した国際会議で、脱北者で元北朝鮮工作員とされる安明進氏は「金正日の命令で、日本人の拉致は1970年代に本格化した。工作員ができるだけ多くの日本人を拉致し、日本においてだけでは足りず、海外に出て拉致しなければならなかったほど」と証言し、拉致被害者の数の多さを示唆した。拉致議連の古屋圭司事務局長は同国際会議で、認定が「天と地ほどの差」を生むと指摘。家族の希望のためにも、認定に向けて作業を進めて欲しいという主旨のことを述べた。

 調査会の荒木和博代表は「政府の認定のペースが遅すぎる」といら立ちを隠さない。12日のシンポジウムでは、「政府だけでなくマスコミのみなさんが、どんどん“認定”してくれませんか」と懇願。“NHK認定”“テレビ朝日認定”などとたくさんの“認定”を出すことで、認定者数よりもたくさんの被害者がいると(一般の人にも)分かってもらえるのではないかという真剣なアイデアを披露した。

 特定失踪者を“認定”してもらいたい家族や支援団体の思いには、明るい“光”も見えてきている。

 東京都の石原慎太郎都知事は18日まで開催されている「拉致被害者、特定失踪者、救出運動」写真・パネル展の視察時に「都でもう一度事件を洗い直し、認定できる被害者について国に伝えるのが都の責任でもある」と決意を語った。

 12日に北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会などが開いたシンポジウムで、斎賀富美子・人権担当大使は政府認定の被害者のほかに「30数人の方が北朝鮮に拉致された可能性が高い」と話した。これは政府関係者が公式の場で、認定者以外の拉致被害者の存在を具体的な人数とともに初めて言及したと話題になった。安倍晋三首相も14日、政府主催の集会で、認定者以外も含めてすべての拉致被害者を救出するのが使命だと断言した。

 啓発週間は、16日まで。最終日の明日は、ワシントンDCらち連絡会「ReACH」や関連NGOによる「拉致被害者を救出するための日米同時集会」が国内各地で開催され、拉致被害の深刻さについて街頭で訴える予定だ。【了】

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