2006年5月31日

データを集めて環境改善へ

31日、世界貿易センタービルで開かれた「自然環境GISサミット」「自然環境GISサミット」

自然や環境の保護のためにGIS(地理情報システム)を使った取り組み事例を紹介する「自然環境GISサミット」(国土交通省主催)が31日、東京都港区の世界貿易センタービルで開かれた。全国のツバメ観察者をGISとブログを用いて組織化し、ツバメの生態に関するデータを集めた日本野鳥の会のほか、地域の環境改善と環境教育をGISで促進している4団体の代表者が、発表とパネルディスカッションでそれぞれの成果や今後の課題について話し合った。

 神奈川県自然環境保全センター(厚木市)は、行政が中心となって「丹沢自然環境情報ステーション(e-TANZAWA)」を立ち上げ、市民団体や研究者らが集めた丹沢山系の自然環境に関する観察データをまとめている。調査主体により形式の違うデータもe-TANZAWAのデータフォーマットに加工し、同地域調査の現状を分かりやすく伝えることを目指す。位置情報とともに写真を登録するサービスもあり、一般の登山家が自ら撮影した写真を登録し、調査に協力することもできる。

 東京都世田谷区の市民団体「せたがやグリーンマップ」は、グリーンマップシステム(米国ニューヨーク)が提唱する方式に従って環境地図を作った。共同代表の堀内正弘さんは「指摘されるまでGISを使っている意識はなかった」と話したが、試験的に始めているオンライン・サービスが、GISを使った先進事例として評価された。グリーンマップは、世界共通の125種類のアイコンで身近な環境情報・状況を表す活動で、エコツーリズムや環境教育に応用されている。現在、世界42カ国、約400地域で同様の地図が作られており、言語の違いを超えて地域環境に関する情報を共有できるという。

 GISは、地図をコンピュータで扱うためのシステム。紙の地図よりも、表示、加工、データ解析、検索などが容易にでき、施設管理やマーケティング支援、カーナビなどさまざまな分野で活用されている。国土交通省は2003年4月から06年3月までの3年間、4つの分野で「GIS利用定着化事業」を推進し、専門家だけでなく一般ユーザーの利用を促していた。「自然環境分野」での実証実験の報告会として行われた同サミットに引き続き、「安心・安全分野」と「教育分野」の報告会も9月までに行われる予定。【了】

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丹沢自然環境情報ステーション(e-TANZAWA)
せたがやグリーンマップ
GISって使えるよ!(国土交通省国土計画局)

2006年5月30日

ボーダフォン買収「慣れている」

30日、東京都港区の六本木ヒルズで決算説明を行う、財務本部副本部長の建石成一執行役。(撮影:東雲吾衣)ソフトバンク傘下初の決算説明会

ボーダフォン(本社・東京都港区、孫正義社長)は30日、ソフトバンク傘下に入って初めての決算説明会を、東京都港区の六本木ヒルズで開いた。会場を埋めた記者やアナリストの関心は、社内状況や今後の設備投資に集中した。

 ボーダフォンの財務本部副本部長の建石成一執行役は、旧国鉄系の日本テレコムが英ボーダフォン傘下に入り、さらにソフトバンクグループに加わるまで買収が繰り返された経緯を、自らのキャリアと重ね合わせて説明。かつての同僚と机を並べることにもなり、懐かしいメンバーが集まったと心情を述べた上で、経営陣の移り変わりには「慣れている」と話した。

 今後の展開については「ソフトバンクと同様に、予想は発表しない。10年後にはトップになっている」などと、孫正義ソフトバンク社長がすでに発表している説明を繰り返すだけに留めた。

 06年3月期連結決算で、売上高は前の期比ほぼ横ばいの1兆4676億円、経常利益は51.5%減の744億円、純利益は69.4%減の495億円だった。05年3月期末からの加入者数純減は、05年6月以降歯止めがかかり、純増数は回復基調にあるが、顧客獲得のための販売促進費が大きく響いた。【了】

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2006年5月29日

“おつかれさまっ”大作戦 実行中

29日、「アサヒぐびなま。“おつかれさまっ”大作戦」の開始を宣言するアサヒビールの荻田伍社長とイメージガール尾形沙耶香さんアサヒ、あす発売のサンプル商品を都内で配布

アサヒビール<2502>は29日、翌30日に発売するビール風飲料の新商品「ぐびなま。」のキャンペーンとして、「アサヒぐびなま。“おつかれさまっ”大作戦」を有楽町や八重洲など都内5カ所で実施している。午後8時まで。

 同社の荻田伍社長が、アサヒビールのイメージガール尾形沙耶香さん(20)とともに、千代田区の丸の内オアゾでキャンペーン開始を宣言。役員5人と約100人の社員が、会社帰りのサラリーマンらに「ぐびなま。」1万6000缶を配っている。

 アサヒビールによると、“第3のビール”はビール各社が新商品投入を続けた結果、06年1-2月累計で、ビール類市場での構成比は19%を超えた。同社は20-30代をターゲットに、「飲みやすさ」と「どこでも飲めるカジュアルな味感」を追求し、同商品を開発した。同社では、「スーパードライ」や「本生」などのブランド強化と並行して、顧客の嗜好多様化に合わせた商品を開発していくという。

 価格はオープンだが、市場想定価格は350ml缶が135円、500ml缶が190円。【了】

2006年5月26日

側転できるロボットを作ろう

近藤科学が新型2足歩行ロボットを発表

ラジオコントロール機器を開発・製造する近藤科学(東京都荒川区、近藤博俊社長)は26日、新たに開発した組み立て型2足歩行ロボット「KHR-2HV」を、東京都千代田区の秋葉原再開発ビル「ロボコンスクール」で発表した。

 同ロボットはパソコンで一般的なUSBインターフェースを標準装備しており、パソコンにつないで簡単に動作プログラムを設定することが可能。ロボットを直接手で動かしてポーズを作り、そのポーズを記憶させる「教示機能」と、ポーズとポーズの間の動作を自動的に補完する機能も備わっている。ロボットを手で整形して連続した動きを作るだけで、短時間でスムーズな動きをプログラムできる。発表会で、同ロボットは置いてある缶を蹴ったり、側転するなど、スムーズな動きで見学者を驚かせていた。

 「KHR-2HV」は、2004年6月に発売した「KHR-1」の後継機。前機種よりも部品点数を減らして組み立てやすくし、アーム部分の素材の一部をアルミから強化プラスチックに変えるなどして耐久性を上げた。価格も前機種より抑えることで、“マニア”向けロボットが一般に普及すると同社は期待している。近藤社長は「電子回路やメカトロニクスの入門用教材の1つとして、学校教育や企業研修に使って欲しい」と話した。

 6月2日に発売予定。価格はオープンだが、市場想定価格は9万円を切るという。【了】

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近藤科学

26日、近藤科学が発表した新型の2足歩行ロボットは側転もできる

2006年5月25日

もうかりメッセ、東京で開催中

25日、大阪ビジネスEXPO2006で「高齢化社会にうってつけの商品だ」と開発した尿瓶を紹介するタカノの高野孝社長大阪府下の7商工会議所が「大阪ビジネスEXPO」を合同で開催

大阪府の東部と南部のモノづくり企業が一堂に会する「大阪ビジネスEXPO2006」が25日、東京都江東区の東京ビッグサイトで始まった。あす26日まで。

 東大阪市や八尾市などの7商工会議所が、自治体や会員企業の協力を得て合同で開催している。東大阪商工会議所が2004年から毎年開催している「もうかりメッセ東大阪 in 東京」に加わる形で、173社が出展。「いきいき商工フェスタ大東」「守口門真産業展」など、各商工会議所がエリアごとに名前をつけ、地域をアピールしていた。

 北大阪商工会議所の「北大阪あきないフェスタ in 東京」では、出展企業が順番にマイクを持ち、“企業の顔”を見せていた。タカノ(大阪府交野市)の高野孝社長は、同社が開発した尿瓶(しびん)「マイ・ボトル」を紹介。「PET樹脂を使い、汚れにくく、縦にも横にも置けるこれまでにない尿瓶を開発した。色をつけたものもあり、今まで陰に隠れて使うものだった尿瓶のイメージを変えたい。高齢化社会にうってつけの商品だ」とピーアールした。

 堺商工会議所の「めっせdeさかい in Tokyo」では、手描きこいのぼりや和菓子づくりなどの実演で、来場者をひきつけていた。堺市が今年4月に15番目の政令指定都市に移行したことを受け、企業誘致や観光の情報を積極的に呼びかけていた。【了】

難民の入学枠を初めて設定

UNHCRが関西学院大学と協定を締結

国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所は24日、関西学院大学と協定を締結し、日本で生活する難民を対象とした同大学への推薦入学・奨学制度を2007年4月から開始すると発表した。国内では初めて。

 UNHCR駐日事務所が毎年2人までを推薦し、関学が書類と面接で審査し、合否を決定する。入学が決まった難民は学費を免除され、必要に応じて住居も提供される。関学はこのほか、生活と学業をサポートするグループの設置を検討している。

 対象となるのは日本に居住する難民1万2000人。インドシナ難民(1万1000人)や難民条約上の難民(約376人)のほか、認定はされていないものの出身国の状況などにより特別に在留を許可された難民申請者(約381人)を含む。経済的事情や母国での卒業証明を得られないとの理由で、教育の機会を失っている難民は多いが、UNHCRでは同制度が難民の自立や社会的地位の向上に役立つと期待している。

 UNHCRによると、国連機関が入学や奨学金に関する協定を大学と直接結ぶのは、世界でも非常に珍しい。現時点でほかに4大学が興味を示しているといい、UNHCRは協定校を増やすため調整をしていく。【了】

2006年5月24日

毒ガス被害者に日本は支援を

24日、会見で日本政府の毒ガス被害者への支援を訴える被害者の丁樹文さん(左)、劉浩ちゃん(中央)と、劉浩ちゃんの父親・劉国義さん被害者ら会見で訴え

旧日本軍が放置した化学兵器によるものとされる毒ガス流出事故で被害にあった中国人男児らが24日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し、医療ケアと恒久的な生活支援を日本政府に訴えた。

 会見した被害者は、黒竜江省チチハル市の建設現場で発見された毒ガス入りのドラム缶を運んだ際に負傷した丁樹文(ティン・シューウェン)さん(26)と、吉林省敦化市の小川で毒ガスに触れた劉浩(リュウ・ハオ)ちゃん(10)。共通の症状として、事故直後に体中に水疱ができ、現在は視力障害、神経症などの症状がある。また、風邪をひきやすく免疫力が低下している可能性もあるという。

 発生した毒ガスは、旧日本軍が60年以上前に遺棄した化学兵器によるものと被害者の弁護団らは主張しており、両事故の事後調査で日本政府もこれを認めている。丁樹文さんは「身体が疲れやすく、働けない状態が続いている。どうやって家族を養えばいいのか」と話した。同席した劉浩ちゃんの父親・劉国義さんは「毒ガスの影響を気にして、一緒に遊んでくれる友達がおらず、1人で遊んでいる。息子はどんどん孤独になっている」と涙ながらに訴えた。

 被害者を支援する東京合同法律事務所の山下基之弁護士は、日本政府へのアピールとして、被害者の症状に見合った医療ケアを行うことと、十分に生活できるよう恒久的に補償することを求めた。すでに昨年8月に逢沢外務副大臣(当時)に要請書を渡しており、今回の訪問中にも、公明党の同問題に関するプロジェクトチームを通じて、小泉純一郎首相か安倍晋三官房長官への面会を要請しているという。

 同弁護士によると、チチハルの事故では、日本政府は毒ガス処理費用の名目で、約3億円の協力金を中国政府に支払った。うち9割が症状に応じて中国政府が被害者に分配したが、被害者の中には職を失い、仕事をする能力を失った者も多く、今後の生活に不安が残るという。山下弁護士は「人道的な立場から、敦化とチチハルの被害者の支援をしてほしい」と述べた。

 中国政府からの何らかの支援はあるのかとの記者からの質問に、山下弁護士は「ない。日本政府からの協力金が、中国政府を通じて分配されただけ」と答えた。また、中国内の個人やNGOからのサポートについて問われると「人権発展基金会(中国・北京)という戦後補償全般を扱う民間基金に支援を申請中」と語ったが、ほぼ見込みはないとの見解を示した。【了】

2006年5月23日

地球の熱で、“雪消え”ちゃん

「NEW環境展」で展示された融雪システム「雪消えちゃん」の一部。熱伝導性が高く、上に置いた氷がすぐに解け始めた。(撮影:吉川忠行)山口県のジャスト東海、「NEW環境展」で融雪技術を展示

雪国の苦労を、地球が持つエネルギーが解決する日が来るかもしれない―。東京都江東区の東京ビッグサイトで開催中の廃棄物とリサイクルの総合展「NEW環境展」で、ジャスト東海(山口県宇部市、志賀均社長)は、独自開発した熱伝導性の高いパイプを利用した融雪システム「雪消え(ゆきえ)ちゃん」を展示していた。

 同社は、熱をよく伝えるガス状の媒体を二重構造パイプの外側に入れた特殊な金属パイプ「サーマルクイック」を開発。同パイプは音速(約340m/秒、白金の500倍)に近い速さで熱を伝導する。雪国でも地下30m地点では12-16度ある「地熱水」をポンプでくみ上げた後、「サーマルクイック」で熱をまわす。積雪する屋根の上に熱が伝わって表面温度が3-4度となり、雪を融かして滑落させる。

 「雪消えちゃん」の設置費用は、1平方メートルあたり約3万円。一軒家で初期費用が100万円程度になるとのことだが、「地熱水」を循環させるための電気代は月約500円で、月数万円以上かかる既存の融雪システムに比べ大幅にコストを抑えることができるという。

 同社の志賀社長は「余分なCO2(二酸化炭素)を出さないので地球温暖化防止に貢献できるし、雪下ろしでの落下事故もなくなる。化石燃料には限界があるが、地球の内部には効果的なエネルギーがあり、使わない手はないと思う」と、普及に期待を示した。【了】

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雪消えちゃん(ジャスト東海)

廃棄物とリサイクルの総合展

NEW環境展、東京ビッグサイトで開催中

廃棄物処理・リサイクル関連の機材、資材、システムなどを集めた「NEW環境展」(日報アイ・ビーなど主催)が23日、東京都江東区の東京ビッグサイトで始まった。26日まで。

 テーマは「人と地球の未来を守る環境革命への挑戦!」で、国内外から552社が出展。屋外会場を含め、建築資材などの破砕機、ごみ収集車や、廃プラスチックの分析器など、大規模な機械が多数展示されている。ごみの減量やリサイクルで地球環境に配慮した製品のほか、作業中の塵(ちり)を集める機器や防護マスクなど、作業環境に配慮した商品に、来場者の関心が集まっていた。

 入場料1000円。開場時間は午前10時から午後5時(最終日は午後4時)まで。【了】

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2006年5月22日

ウォークマン携帯、日本上陸

22日、KDDIが発表した日本初の「ウォークマン」ブランドの携帯電話「W42S」(撮影:吉川忠行)KDDIが夏モデル7機種を発売

KDDI<9433>は22日、東京都千代田区のホテルニューオータニ東京で開いた記者会見で、日本初の「ウォークマン」ブランドの携帯電話「W42S」(ソニーエリクソン)など、夏モデル7機種を発表した。6月上旬から順次発売する。

 デザインと機能の次は、ブランドとのタイアップ―。「一人ひとりのこだわりに応える」と繰り返し説明する同社は、ブランド力のある企業とコラボレーションした商品を夏商戦に向けてそろえた。“ウォークマン”携帯のほかには、防水と耐衝撃性を備えた“タフ”携帯「G'zOne W42CA」(カシオ)を発売する。記者会見でも、2社の担当者がそれぞれの機能を説明。新機種の“ブランド性”を強調した。

 「W42S」は、携帯電話では最長の連続30時間の音楽再生が可能。1Gバイトの音楽専用メモリを内蔵しており、最大約630曲を保存できる。“ウォークマン”携帯は日本での発売は初めてだが、すでに海外では2005年8月から販売されており、全世界で550万台以上が売れている。

 「G'zOne W42CA」は、「G'zOne」シリーズ初の「CDMA 1X WIN」端末。水深1mの水槽に30分沈めても機能を損なわない「タフネス性能」を持つだけでなく、207万画素のカメラやSDカードスロットも搭載する。

 会見で、KDDI執行役員の川井徹au商品企画本部長は「他社とは、多彩なラインナップやデザイン性、利用しやすい料金などで勝負していく。また、下り3.1Mbps、上り1.8Mbpsのデータ通信が可能なEV-DO Rev.Aを今年中にサービス開始できるよう準備している」と話し、11月1日までに始まる「携帯電話番号ポータビリティ」制度が導入された後の競争力に自信を見せた。【了】

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2006年5月19日

「人種差別は根深い」と主張

人権団体の招きで非公式に来日していた国連人権委員会任命の特別報告者ドゥドゥ・ディエン氏(撮影:吉川忠行)国連特別報告者ドゥドゥ・ディエン氏が非公式に来日

人権団体の招きで非公式に来日していた国連人権委員会任命の特別報告者ドゥドゥ・ディエン氏(セネガル)は18日、東京都千代田区の外国特派員協会で会見し、「日本には根深い人種差別がはびこっている。とくに米同時多発テロ以後は、外国人を排斥し犯罪者扱いする傾向にある」と話した。

 同氏は05年7月に来日。9日間の滞在期間中に人権状況についてヒアリングを中心とした調査を行い、今年1月に報告書を発表した。その中で、日本には人種差別と外国人嫌悪が存在し、アイヌ民族や沖縄の人びとなど“ナショナル・マイノリティー”と、在日コリアンやその他の外国人に影響を及ぼしていると結論付けた。また、日本政府に対し、人種差別の存在を公式に認め、独立した国内人権機関と差別問題専管部局を設置することなどについて、24項目の勧告を行った。

 会見で、ディエン氏は「日本には人種差別を禁じる法律が存在しない」と指摘。17日に参院で成立した改正出入国管理・難民認定法で、16歳以上の外国人に指紋採取や顔写真撮影を義務づけたことなどを批判した。

 日本政府から報告書に対して公式の回答がないことや、日本のマスメディアがディエン氏の報告をほとんど取り上げていないことへの感想を問われ、「日本のメディアを見ていないので知らないが、問題にされないということはこの件の根深さを表している」と主張した。【了】

2006年5月18日

国連事務総長「熱意失うな」

東大の小宮山宏総長(左)から名誉博士号をうけるコフィー・アナン国連事務総長(撮影:吉川忠行)名誉博士号を受け、東大生にエール

来日中のコフィー・アナン国連事務総長は18日、東京都文京区の東京大学安田講堂で同大学の名誉博士号を受けた。紛争後の平和構築など、アナン氏の事務総長としての功績を東京大学が讃えた。

 授与式に続く記念講演でアナン氏は、東チモールやアフガニスタンなど世界各地の紛争や災害後の復興に、日本人が貢献していることに言及。「世界を良くしようという熱意を失わないで欲しい。1人ですべてをやろうとしても、世界に横たわる大きな問題を前に無力感を感じるだけだが、チームワークを重視すれば、一つひとつの活動が貢献になる。傍観者にならず、とにかく身近な問題から関わって、参加してほしい」と、東大の学生らにエールを送った。

 日本についてアナン氏は、唯一の被爆国でありながら、核の製造と保有を禁じつつ国家として大きく成功したことを賞賛し「“普通の国”であるために核を所有する必要はないという、世界への強力なメッセージになっている」と語った。

 また、イランや北朝鮮を引き合いに出し、核兵器の保有が必須だと思い込む国が増えているとも指摘。核を持つ国と持たない国が相互不信に陥っており、NPT(核拡散防止条約)が危機に直面していると警鐘を鳴らした。【了】

2006年5月17日

歴史的な出会い、和解への第一歩

17日午前、共同声明に署名する民団のハ団長(左)と総連のソ議長(撮影:吉川忠行)韓国民団と朝鮮総連が共同声明に署名

在日本大韓民国民団(民団)のハ・ビョンオク中央団長と在日本朝鮮人総連合会(総連)のソ・マンスル議長は17日午前、東京都千代田区の総連中央本部で、両団体代表として初めての会談を行い、民族対立を和解に代えて行くための共同声明に署名した。

 午前10時25分ごろ、民団のハ団長と幹部らが総連本部に到着し、総連のソ議長ほか職員約50人が拍手で出迎えた。民族衣装チマチョゴリに身を包んだ女性5人が、民団幹部に花束を手渡した。

 約150人の報道陣が詰めかける中、中庭で記念撮影をした後、民団と総連から各7人ずつが会談に出席した。会談は終始和やかな雰囲気で行われ、終了後に民団のハ団長と総連のソ議長が共同声明に署名した。両代表は固い握手を交わし、記者団の求めに応じて抱き合った。

 同11時10分過ぎ、総連の代表らが民団代表を見送り、「歴史的な出会い」は成功裏に終わった。

 共同声明には「民族的団結と統一に向かう民族史の流れに沿って、両団体間で長い間続いてきた反目と対立を和解と和合に確固として転換させることを互いに確認した」と明記されている。6月15日に韓国・光州で開かれる民族統一大祝典に共同で参加することなどが決まっており、民族性の固守・発揚のための教育や民族文化振興のために努力する趣旨が盛り込まれている。

 しかし、和解への道はようやくその一歩を踏み出したところだ。総連の徐忠彦広報室長は「(両団体の)接触は1週間前に自然発生的に始まった。一緒にできることをやっていこうというのが共同声明の趣旨」と話し、本国の国家体制の違いや民族学校の共同運営などについては明言を避けた。また、本国からの同意やコメントについて記者団から問われると、「我々が主体的にやること。本国の了解以前に、在日同胞社会の同意がある」と語った。【了】

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総連と民団が初のトップ会談

17日、和解のための共同声明に署名後、抱き合う民団のハ・ビョンオク中央団長(左)と総連のソ・マンスル議長(撮影:吉川忠行)和解のための共同宣言に署名

在日本大韓民国民団(民団)と在日本朝鮮人総連合会(総連)の両代表らが17日午前、東京都千代田区の総連中央本部で史上初のトップ会談を行い、民族対立を和解に代えて行くための共同声明に署名した。両団体は、半世紀以上に及ぶ対立の歴史に終止符を打つことになった。

 会談には、民団のハ・ビョンオク中央団長と総連のソ・マンスル議長ら、両団体から各7人が出席。終始和やかな雰囲気で、「歴史に残る日。後の世代のために団結し、協力しよう」という趣旨の話をした。

 会談終了後、共同声明に署名。民団のハ団長と総連のソ議長は固い握手を交わし、記者団の求めに応じて抱き合った。

 合意内容は◆両団体の和解と在日コリアンの民族的団結のために協力する◆韓国・光州で開かれる6.15民族統一大祝典に、日本地域委員会代表団のメンバーとして共同で参加する◆8.15記念祝祭を共同開催する◆民族性の固守・発揚のための教育や民族文化振興のために努力する―など。今後提起される問題解決のために、随時協議するための窓口を開設することにした。【了】

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2006年5月16日

5秒で起動 文庫本サイズPC

16日、ソニーが発表した520gの小型軽量モバイルパソコン「VAIO type U」(撮影:吉川忠行)重量520g、6月下旬にはハードディスクなしモデルも発表へ

ソニー<6758>は16日、VAIOシリーズ最小の軽量モバイルパソコン「VAIO type U」を発売すると発表した。

 幅150mm、高さ32mm、奥行き95mmと、文庫本とほぼ同じサイズで、本体重量は約520g。Windows XPを搭載し、標準バッテリーで約3.5時間連続使用できる。スタンバイ状態からなら約5秒で起動する速さも特徴。

 1024×600ドット表示対応の4.5型ワイド液晶で文字が極小だが、画面の縦横表示を切り替えたり、表示画面を拡大する機能もある。ディスプレーにはタッチパネルを採用しており、ボタンを1度押すだけでアプリケーションを呼び出す専用ランチャーを起動できるようにしたり、スタイラス(タッチパネル操作用のペン状の棒)の動きで直感的な操作を可能にするなど、ユーザーインターフェースに工夫を加えた。

 また、東京都港区のグランドハイアット東京で開いた記者会見で、VAIO事業部門の石田佳久部門長は、記憶装置に16GBのNAND型フラッシュメモリを使う「type U」の新モデルを開発中であると明かした。フラッシュメモリーを使うと、可動部品がないためハードディスクよりも耐久性が向上し、電池の寿命もアップするという。6月下旬に正式発表の予定。

 店頭販売モデルの「VGN-UX50」は、5月27日に発売される。価格はオープンだが、同社の予想価格は約17万円。【了】

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16日、ソニーが発表したブルーレイディスクを搭載した世界初のノートパソコン「VAIO type A」(撮影:吉川忠行)ソニーが6月中旬に発売

ソニー<6758>は16日、東京都港区のグランドハイアット東京で開いた記者会見で、ブルーレイディスクドライブを搭載した世界初のノートパソコンなど12機種を、5月下旬から7月にかけて順次発売すると発表した。

 発表されたのは、ハイスペックノートパソコン「VAIO type A」6機種と、タワー型デスクトップパソコン「VAIO type R」6機種。ハイビジョン映像をそのままの画質で視聴、編集し、ディスクに保存することができる。映像と音声端子を1つにまとめた家電向けのデジタル映像・音声入出力端子「HDMI端子」を全モデルに搭載しており、HDMI対応テレビと接続すれば、パソコンで編集したハイビジョン映像をテレビの大画面に写すことも可能。

 VAIO事業部門の石田佳久部門長は「安ければ、使えればいいのではなく、質にこだわっている。ソニーがパソコンを生産している意味をなくすつもりはない」とクオリティー重視の姿勢を強調した。

 価格はオープンだが、17型ワイドWUXGA(1920×1200ドット)対応デイスプレーを搭載した、VAIO史上最大機種「VGN-AR70B」の同社による市場推定価格は約40万円。【了】

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2006年5月15日

「鳥」インフルを「取」り除く

15日、帝国ホテルで共同研究の成果を発表した(左から)鳥取大学の伊藤壽啓教授、大槻公一特任教授と三洋電機の安田昌司ヒューマンエコロジー研究所長(撮影:吉川忠行)三洋電機、鳥取大学との共同研究の成果を発表

三洋電機<6764>は15日、同社の電解水技術「除菌エレメント」「除菌電解ミスト」が、鳥インフルエンザウイルスを抑制する効果があることを、鳥取大学(能勢隆之学長)農学部との共同研究で確認したと発表した。

 「除菌エレメント」は、電解水を滴下したフィルターに空気を通過させる大空間を高速除菌するシステムで、「除菌電解ミスト」は、電解水を超音波振動子を用いて拡散効果の高い微粒子にして、空気中に放出するシステム。すでに三洋の空気清浄機などに使われているこれら2つの要素技術の、鳥インフルエンザウイルスへの効果を測定した結果、同ウイルスが99%以上減少することが分かった。

 実験段階の結果であり、個別の商品がさまざまな使用条件でどの程度の効果を発揮するかは明らかになっていないが、三洋と鳥取大学は「安全性や環境にも配慮が可能な中で、鳥インフルエンザウイルスの抑制に、実用的に応用展開できる」としている。

 同日東京都千代田区の帝国ホテルで開いた記者会見で、三洋研究開発本部ヒューマンエコロジー研究所の安田昌司所長は「水道水というどこでも手に入るものを、効果的に使うことができる。ウイルスは消毒薬でも減少するが、消毒薬を大量に使用すると人体に影響する可能性がある」と話した。【了】

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2006年5月12日

「昨年と同じ、でも逮捕」

11日に大久保地域センターで開かれた「メーデー不当弾圧を許すな 5・11緊急集会」メーデー・デモでの逮捕を不当と訴え

フリーターらが労働条件改善などを主張したメーデーのデモで、参加者3人が警察により逮捕されたのは不当だったと訴える「メーデー不当弾圧を許すな 5・11緊急集会」(自由と生存のメーデー06実行委員会・メーデー救援会主催)が11日、東京都新宿区の大久保地域センターで開かれ、約140人が出席した。

 主催者によると、4月30日にフリーターら約100人が、東京都渋谷区の神宮前穏田区民会館でメーデーの集会を開いた後、警察に届けた上で渋谷駅周辺までをデモ行進した。前年と同様にDJミキサーを載せた「サウンドカー」を先頭に歩く形式で、長時間労働撤廃などを訴えていた。警察や機動隊にはさまれながらデモ隊は進んだが、歩くスピードや音楽を流す行為にデモ開始直後から警告を受け、デモ終了までに、道路交通法違反で1人、公務執行妨害で2人が逮捕された。道交法で逮捕された1人は拘留請求されずに5月2日に釈放、残り2人は9日と集会当日に釈放されたという。

 集会に参加した人は「昨年と同じことをしたのになぜ」と逮捕への疑問を訴えた。約10日間拘留されていた男性は、留置所での数日間について体験などを語った。【了】

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メーデー救援会

JAL、エアバス「検討対象外」

12日、日本外国特派員協会で講演した日本航空の西松遥次期社長(撮影:吉川忠行)西松遥次期社長が講演

6月の株主総会後に就任が予定されている日本航空<9205>の次期社長・西松遥専務が12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、「大きな飛行機での運行が多すぎ、国内線含めてダウンサイジングして便数を増やす方向。エアバス380(A380)型は現在のところ検討の対象外」と話した。

 欧州の記者からエアバス導入について問われ、西松専務は「国際線の競争相手がA380を導入した場合に、検討しなおすことがないわけではない」と答えた。性能と経済面を総合的に勘案した結果、今の状況があると強調しながら「米国に部品供給センターがあり、連続性で考えると欧州で展開することはコスト高になる。現在10機種以上あり、コスト効率をよくするために減らすことはあっても、増やす予定はない。新機種のパイロット訓練には半年ほどかかり、新しいものには手を出しづらい」と繰り返し説明した。

 ローコストキャリア(格安航空会社)については「大都市に第2、第3空港がある欧州と異なり、日本では新規参入する会社も羽田空港を使っている。新規参入組は、客数の多いドル箱路線に参入しているだけで、少しは安いが低料金のビジネスモデルが確立しているとはいえない。“おいしいとこ取り”しようとしているに過ぎない」と語った。

 羽田空港隣接地に、1985年の日航ジャンボ機墜落事故の残存機体などを展示した「安全啓発センター」を設置したことについて、西松専務は「開設について遺族から賛否両論あったが、20年という歳月を経た今、展示が次の事故防止に役立てられればと思う。当事者として勇気のいることで衝撃的なものもあるが、百聞は一見に如かずで、悲惨さを認識する重要性を改めて感じた」と述べた。【了】

2006年5月11日

音楽を携帯で高速受信

NTTドコモが11日に発表したHSDPAに対応したFOMAの新端末「N902iX HIGH-SPEED」(右下)とカード型端末「FOMA M2501 HIGH-SPEED」(中央下)は夏ごろ発売予定(撮影:吉川忠行)ドコモ、HSPDA対応端末の開発を発表

NTTドコモ<9437>は11日、東京都渋谷区のリキッドルームで開いた会見で、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)に対応したFOMAの新端末「N902iX HIGH-SPEED」と、同規格対応のカード型端末「FOMA M2501 HIGH-SPEED」の開発を発表した。発売は夏ごろを予定している。

 同社が展開予定のサービスでは、最大3.6Mbpsでダウンロードが可能。音楽や映像を従来比約10倍のスピードで受信できる。「N902iX HIGH-SPEED」の発売にあわせて、ドコモは深夜に音楽プログラムを定期的に配信する新サービス「ミュージックチャネル」を開始する。主要都市からハイスピードエリアを展開し、07年3月末までに人口カバー率70%を目指すという。

 HSDPAは、3G(第3世代)携帯電話技術「W-CDMA」方式のデータ通信速度を高速化した規格で、最大14.4Mbpsのダウンロードが可能。ソフトバンクの孫正義社長も10日の決算発表会で、ボーダフォンが今秋にもHSDPAのサービスを開始すると明らかにしている。【了】

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ドコモ 音楽ケータイでau追随

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15日、NTTドコモが発表したFOMA「9シリーズNew Models」8機種(撮影:吉川忠行)FOMA新シリーズ8機種、夏までに発売

NTTドコモ<9437>は11日、東京都渋谷区のリキッドルームで会見を開き、FOMA「9シリーズNew Models」8機種の開発を発表した。5月中旬から夏にかけて順次発売される。

 同シリーズには、同社が提供するクレジットサービス「DCMX」のiアプリがあらかじめインストールされ、音楽機能が充実したことが主な特徴。「P902iS」(松下)と「N902iX HIGH-SPEED」(NEC)の2機種が楽曲を1曲丸ごとダウンロードできる「着うたフル」に対応しているほか、「F902iS」は米マイクロソフト提供の「Windows Media Technology」を搭載しているため、パソコン向け音楽配信サービスで購入した楽曲を携帯電話で再生できる。

 セキュリティー機能も充実しており、アドレス帳などのデータをネットワーク上に保存できる「電話帳お預かりサービス」、紛失時などに電話1本でICカード機能や電話帳の閲覧をロックする「おまかせロック」、指紋、顔、声紋で本人確認を行う「バイオ認証」に対応している。【了】

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2006年5月10日

ソフトバンク、通期で黒字転換

10日、06年3月期決算説明会で、携帯電話事業にも自信を示す孫正義ソフトバンク社長(撮影:吉川忠行)2006年3月期連結決算を発表 孫社長「携帯電話事業よりそば屋の方が難しい」

ソフトバンク<9984>の孫正義社長は10日、東京都港区のホテルオークラ東京で開いた決算説明会の冒頭でボーダフォン買収について言及し、「買ってよかった。手応えを感じ、日に日に自信が高まっている」と満面の笑みで語った。

 同社は2006年3月期連結決算で、営業損益、経常損益、純損益の“3点セット”が、00年3月期以来5期ぶりに黒字となった。ブロードバンド事業や固定通信事業(日本テレコム)が好調で、売上高が前の期比32.5%増の1兆1086億6500万円、営業利益は622億9900万円(前の期は253億5900万円の赤字)、経常利益が274億9200万円(前の期は452億4800万円の赤字)、純利益は575億5000万円(前の期は598億7100万円の赤字)だった。

 孫社長は会見で、買収から2日でボーダフォンをソフトバンク本社ビルに移転させた“迅速さ”を強調。「ギネスブックものだ」と自賛した。携帯電話事業で課題となっている3G(第3世代)ネットワークの増強と3G端末の充実は早期に実現するとし、固定通信と携帯電話のブランド統一についても「今日はコメントを控えるが、近いうちに発表する」と話した。

 また、幹部同士で「3社しかない携帯電話でトップを取るよりも、何万店もあるそば屋でトップになる方が、不確定要素があって難しいのではないか」という冗談話をしたと披露。「すべきことは決まっている。2-3年以上かかるかもしれないが、10年経ってもできないことではない」と、NTTドコモとKDDIからシェアを奪うことに自信を見せた。【了】

渡辺謙 「イーストウッドは父」

10日、都内・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見する俳優の渡辺謙。(撮影:東雲吾衣)ハリウッドスター渡辺謙

俳優の渡辺謙が10日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し、13日から上映開始される映画『明日の記憶』の撮影で感じたことに触れ「日本では病気を人生のマイナスととらえる傾向が強く、アルツハイマー(認知症)などへの社会の理解度が低く、治療やサポートが受けにくいことを知った。映画を見て、自分の身近にある偏見や無理解を知って欲しい」と語った。

 渡辺は、自身が白血病と闘った経験を振り返りながら「不治の病とか、生きる可能性がないと軽々しく話してはいけない。病気になると終わりではなく、生きていることの一つの区切りとして何かがある。病気になったとしても、それを背負って“生きている”。病気ということで、ネガティブに線を引くべきでない」とも話した。

 俳優になったきっかけを問われると、「音楽をやっていたので、パフォーマンスには興味があったが、もともと俳優になることに高いモチベーションがあったわけではない。病気をして自らを見つめ直す時間があったおかげで、今は社会とつながるために、俳優という仕事を与えられたと感じている」と答えた。ハリウッド俳優としての“稼ぎ”に関する質問には、「すでにビジネスへの興味は失っている。いただいた話を受けて、何とか生活できればいい」と外国人記者らの笑いを誘った。

 年末公開予定の映画『硫黄島からの手紙』撮影中のクリント・イーストウッド監督との関係については「クリント・イーストウッドが自分の父であるような感じがした。大きな壁であり、包容力があり、すべてを導いてくれる信頼できる人だった」と語った。 俳優が力を発揮できる状況を監督がよく理解しているので、演技がしやすかったという。【了】

2006年5月 9日

産学連携「具体的な成果出す」

産学連携のための組織的連携協定の締結を発表する日立の中村道治副社長(左)と東京農工大学の小畑秀文学長(撮影:吉川忠行)東京農工大と日立が組織的連携協定を締結

東京農工大学(東京都府中市、小畑秀文学長)と日立製作所<6501>は9日、東京都千代田区の日立本社で会見し、産学連携のための組織的連携協定の締結を発表した。

 農工大と日立は、これまでも携帯情報機器用32ビットマイクロプロセッサ「SuperH」マイコン向けソフトウェアなどの分野で、テーマ別に共同開発をしたことがあった。包括的な連携協定を結んだのは、定期的に情報交換をし、案件に即座に対応できるようにするためという。

 まずは、遺伝子解析などを行うライフサイエンス分野と次世代情報家電向け対話型ヒューマンインターフェースの開発を共同で行い、徐々に他分野にも連携を拡大していく。両社は人材の相互交流も予定しており、日立は農工大から学生を長期インターンシップで受け入れ、研究者を農工大に講師として派遣する。

 農工大の小畑学長は「産学連携は今や珍しくないが、協定を結んだだけのところも多い。具体的な成果を出したい」と意気込みを語った。日立の中村道治副社長は「農工大と日立の中央研究所は地理的に近く、人のつながりも深い。米シリコンバレーの企業が近隣の大学との関係のようになれば」と語った。【了】

2006年5月 8日

生きる意味と希望を考える

[書評]「生命のメッセージ展」実行委員会編『いのち・未来へ』

「行ってきます」という一言には、「行って無事に帰って来る」という意味が込められており、その対に「ただいま」がある。この2つの単語が繰り返されることが、当たり前の日常であると一般には考えられている。

 この当たり前の連鎖が突如として断絶されるとき、平凡な日常がどれほど幸せで、感謝すべきものだったかに気づく。本書では、交通犯罪や医療事故、リンチ殺人などで家族の命を奪われた遺族が、その切ない思いをつづるとともに、その原因を社会問題として提起している。

 「理不尽に奪われた命」を嘆く遺族たちは、“命の重み”を訴える「生命のメッセージ展」を全国で開催することを通じて、事件や事故の風化を防ぎ、それぞれの思いをつないできた。平凡な日常を当たり前のものとして過ごす世間の無関心と、予期せずに家族を失った自らの境遇とのギャップに戸惑いながらも、生前に死者が持っていた夢を語り継いできた。

 なぜ、命を奪われてなお死者が冒涜されるのか?
 どうしてうちの息子が?

 本書に含まれるさまざまな疑問符は、生命について真剣に考えた遺族の単なる苦悩の表れではない。いま生きている我々に、生きる意味や希望について考えさせるメッセージだ。(日本エディターズ、2005年5月、1470円)【了】

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