2006年4月25日

「学びは義務ではなく楽しみ」

[書評]深田尚彦著『人は皆、急ぎ足の旅人』

人類は空間を移動することで経験を積み、経験が知性を掻き立て、その知性が文化を構築してきた。生きるために、そして、楽しむために、移動=旅を繰り返した結果、今の世界がある。一方で、空間の移動を伴わない別の旅もある。一所に座したままでも、身体で風や音を感じ、心で回想する。時間は、休まず動き続ける。ゆえに、人は皆、空間と時間の旅人である、と著者は言う。

 本書は、旅を始めて80年以上、教育・研究に関わって60年以上の“人生の大先輩”が、自らの旅について書いた本である。ときに空間を越え、ときに立ち止まって時間の流れに身を任せながら、これまで考えたことを回想している。そして、過去を想起する過程で、さらに新たな発見をしている。

 幼い頃から今まで、暇を見つけて読書を続けてきた著者は、読み継がれてきた名著から、先人が人生で得たものを学んだ。また、教育者としての著者は、教育とは、先人の経験からよき社会的資産を選び、後進に渡すことだと定義した。

 「学びは義務ではなく楽しみ」と一人で気づくのは難しいが、教育や読書は人類が蓄積した知恵という遺産を身につける近道だ。価値ある「古人との対話」ができれば、人生という旅はより面白くなる。「学ぶとは文化を取り込んで良く生きることだ」。空間と時間の旅を通じて、そう考えた著者は、これから長い旅をする若者のために、自らの思考方式を本書に著した。(岳洋社、2006年3月、2625円)【了】

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アグネス「エイズを語ろう」

25日、ユニセフハウスで講演するアグネス・チャンさん(撮影:吉川忠行)レソト王国視察を報告

歌手のアグネス・チャンさんが25日、HIV感染率が世界で3番目に高いとされるアフリカ南部のレソト王国視察について、東京都港区のユニセフハウスで講演した。

 レソトは、南アフリカ共和国の内部にある小国。標高1000-3000mの地帯が国土のほとんどを占める山岳国で、首都マセルから離れた東部を中心に、医療サービスの普及が遅れている。ユニセフによると、4人に1人がHIV感染者といわれる。同様にHIV感染率の高い周辺国に比べ、治療を受ける機会が少なく、エイズによる死亡者が近隣諸国に比べて多い。1995年に280万人だった人口が、2005年には180万人にまで減少しているという。

 アグネスさんは「エイズは防げる病気。沈黙、偏見、無関心が病気を広め、子どもと国の将来を破壊する。静かに人を殺していく病気なので、語り合うことが大事」と述べた。また、HIVに感染しながら立派に子育てをする女性と話したことに触れ、「治療を受けているから大丈夫という、自信ある母親の姿を見て、励まされた。ユニセフ大使として一生懸命活動しなければ」と語った。

 アグネスさんは、1998年から日本ユニセフ協会大使に就任。スーダン、イラク、モルドバなどでユニセフ活動を視察し、世界で危機にさらされている子どもたちの現状を伝えている。レソトには17日から22日までの6日間、滞在した。【了】

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2006年4月24日

チュニジアがモザイク画寄贈

チュニジア大使館が千代田区に寄贈したモザイク画の前で握手する、サラ・ハンナシ大使(左)と石川雅己区長(撮影:吉川忠行)千代田区に、友好のしるし

チュニジア大使館は24日、同国大使館のある東京都千代田区に「籠(かご)から泳ぎだす魚」のモザイク画を寄贈。同区の高齢者のための総合施設「いきいきプラザ一番町」で除幕式が行われた。

 今年はチュニジアと日本の国交50周年にあたり、友好のしるしとして寄贈を決めた。モザイク画は、昨年の愛・地球博(愛知万博)で「チュニジア館」に展示されていたもの。除幕式に合わせて同日、チュニジア古典音楽グループによるコンサートが開かれ、同国の風景を撮った写真展が始まった。

 除幕式で、サラ・ハンナシ大使は「開設以来、チュニジア大使館も、大使館員も、ずっと千代田区民。写真とモザイクを見て、チュニジアを訪れたいと思ってほしい」と話した。

 モザイク画は、同施設カスケードホールロビーに展示された。写真展は29日まで。開場時間は、午前9時から午後7時まで。最終の29日は午後4時まで。入場無料。【了】

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福岡市、五輪計画概要を発表

立候補意思表明書を提出、ライバルの東京を牽制

JOCに立候補意思表明書を提出し、2016年夏季五輪招致に正式に名乗りを上げた福岡市の山崎広太郎市長(右)と、福岡県の麻生渡知事福岡市の山崎広太郎市長は24日午後、東京都渋谷区の岸記念体育会館で、日本オリンピック委員会(JOC)に立候補意思表明書を提出し、2016年夏季五輪招致に正式に名乗りを上げた。東京都も28日に立候補する。日本の立候補都市はJOCが8月に決定する予定。

 同市は、博多湾全域を会場として、自然環境と調和したオリンピックを目指す。コンパクトな施設設計が特徴で、半数の選手が5分以内、80%の選手が20分以内で、選手村から競技会場へ移動できるという。また、会場中心部に世界中の豪華客船を接岸させ、観客や報道関係者向けの宿泊施設として利用する計画もある。

 一方で、一部競技の全国開催を視野に入れている。現時点で、クレー射撃を熊本県で、サッカーを東北地方などを含む全国数カ所で実施するとした。

 意思表明書提出後の会見で、山崎市長は「150万都市で開催できる“21世紀型の五輪”の計画ができた。日本で2度目の(夏季)五輪は、ぜひ地方で開催し、日本の歴史と多様性を世界にアピールしたい」と話した。福岡県の麻生渡知事は「50年で大きく変化した日本の姿を見てもらおう。分権の時代だし、地方を重視した候補地選定をしてほしい」と語った。

 28日に立候補する東京が詳細を明示しないようだと記者から聞くと、山崎市長は「立候補するからには、市民に提示しなければいけないという考え。準備期間があったのだから会場計画やコストは提示すべきだと私は考える」と述べた。【了】

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2006年4月22日

絵本で見るイランの一側面

ペルシャ語翻訳家、愛甲恵子さんインタビュー

イランの絵本、手前2冊が日本で出版されたもの(撮影:吉川忠行)イランの絵本が3月から7月まで月に1冊ずつ、5カ月連続で出版されている。イランは、自国の核問題や日本での不法滞在などネガティブなニュースで注目される一方、ペルシャ遺跡や絨毯(じゅうたん)など、文化レベルの高さでも有名。最近では、国際的な評価が高いとされる同国の映画が、日本で上映される機会も増えている。

 2002年11月に『イラン映画をみに行こう』を出版したブルース・インターアクションズが、同国の芸術性の高さに注目し、絵本の出版を決めた。シリーズ5冊の翻訳を担当している愛甲恵子さん(29)に、イランの絵本を通じて主張したいことなどについて聞いた。

 愛甲さんは、02年3月に東京外国語大学大学院を修了。専門はペルシャ語で、現在はイランの絵本を紹介、販売するため、不定期に原画展などを開いている。

―― 出版に関わったきっかけは?

 偶然が重なった。長野県松本市で主催した展覧会で一度会ったことのあるイラン映画コーディネーターのショーレ・ゴルパリアンさんが、出版社に紹介してくれたことがきっかけ。イランの絵本に注目した出版社から頼まれ、“たまたま”私を思い出したらしい。

 以前からイランの絵本を紹介する活動をしていて、出版社の人に初めて会ったときは自分が好きな本を推薦した。それから1カ月ぐらいして「企画を会議に通したい。通ったら、翻訳をお願いしたい」と言われた。

―― “たまたま”ですか。

 松本で展覧会を開いたのも“たまたま”。大学時代に松本出身のクラスメートから、松本のNGO「シャマーレ・アフガニスタン」の仕事を依頼された縁があった。NGOの人に、イランの絵本を紹介したい旨を伝えておいたところ、「イラン映画祭2004」に合わせて展覧会を開くことを勧められた。

 こうして運良く絵本原画展を開いたところ、映画祭にゲストとして呼ばれていたショーレさんが原画展に寄ってくれ、会場で初めて彼女と話をした。このことが、イランの絵本を出版する“夢”を実現するきっかけになった。

―― どのような絵本?

 5冊のうち3冊は、リズムのいい絵本。詩の国イランのイメージに合致していると思う。他の2冊は物語調。イランの絵本はストーリーの長いものが多い。例えば、3月に発売した『フルーツちゃん!』は、詩ではないが、詩的なリズムが心地よく、フルーツや野菜を使って動物を表現している、かわいらしい作品。

―― 翻訳で苦労したことは?

 日本語はすべてに母音がついているので、ペルシャ語の子音による軽やかなリズムを表現するのに苦労した。(4月21日に発売された)『ごきぶりねえさんどこいくの?』などは、単純で長いストーリー。ペルシャ語だと子音だけで軽く読めるものが、日本語にすると冗長で重くなる。イランの絵本は全般的に長く、英語などと同じで「誰が」「いつ」「何を」「どうした」と、日本語なら言わなくていいと思えることも全部書いてある。

―― イランの絵本を紹介したいと思ったきっかけは?

 絵本への興味は、イランとは関係がなかった。“たまたま”イランの絵本の素晴らしさに気づくきっかけがあった。

 絵本に興味を持ったのは、学生時代に、論文という表現行為に行き詰まり、イランやペルシャ語から離れようと思っていた時期。そのとき、“たまたま”『絵本をよんでみる』(五味太郎・小野明著)という本に出合った。当時は自分の言いたいことを言葉で表現できず、追い詰められていた感があった。絵と言葉を一緒に表すことで、それぞれの枠を超えていける絵本は、表現の方法として可能性があると思い、興味を持った。

 というわけで、当初は日本の絵本しか見ていなかった。しかし、(途上国の作家支援のため、ユネスコ・アジア文化センターが隔年で主催する)「野間国際絵本原画コンクール」の展覧会に“たまたま”行った時、イラン人の作品が数多く入選していると知り、驚くとともに縁を感じた。

 一方で、大学院卒業後はイランと無関係なことをしようと思っていたにもかかわらず、自分の考えや興味が、長く関わったイランやペルシャ語を通じて決まっているとも感じた。ほかのことに取り組むときよりも、居心地がいいと感じることにも気づいた。そして、イランへの気持ちが「現地に行ってみて、面白くなければそのときにやめればいい。とにかく、行ってみよう」というぐらいになり、イランで10カ月生活することを決断した。

 自分が将来、イランの絵本の翻訳に携わるとは予想もしていなかったので、イラン渡航後すぐに絵本を探したわけではなかった。“たまたま”子どもの本の専門店に入ったとき、自分が考えていたよりも、イメージが膨らむ作品があると知って驚いた。それからたくさん読むようになった。「イランだから」ではなく、絵本としての作品価値の高さに魅力を感じた。

―― そもそも、ペルシャ語を選んだ理由は?

 言葉を勉強したいとは考えていた。ずいぶん昔に、アラビア語で書かれたスノーマンを見て、美しい文字だと思った。そういう印象があり、さらにアラブやペルシャは、自分が最も遠いと感じていた、知らなかった地域のことを勉強したいと思い、受験でペルシャ語を選択したのが始まり(ペルシャ語はアラビア語と共通の文字を使っている)。

―― ペルシャ語はどんな言語?

 文字だけでなく、音が美しい。イラン人はおしゃべりが大好きで、よどみなく朗々と語る。立て続けに話す姿は魅力的。翻訳を始めてからは、ペルシャ語を日本語に置き換える作業が楽しい。ぴったり当てはまる言葉を見つけたとき、快感を感じる。

―― イランの印象は?

 イランについて話せと言われると、すごく難しい。論じることは無理。自分が仲良くしている人のこと、乾燥していることなど、自分の体験について思い浮かぶが、国や文化は、一括りにはできない。具体的に聞かれれば答えられるけど、まとめて論じることはできないし、すべきでないと思う。

 イランに触れる機会のない人は、少ない情報で判断をしてしまうと思う。何かを論じようとするならば、まだまだ分からないことがあると気づき、話をする際に葛藤するところまで、情報量を増やしてほしい。

―― 絵本をどう捉えてほしい?

 絵本が、数ある情報のうちの1つのアイテムになるのではないか。核とか、ペルシャ絨毯とか、いろいろあるけれども、「こんなものがあるんだ」と絵本の存在を知ってもらえれば嬉しい。絵本を読んでみて、もっとイランのことが分からなくなり、固まったイメージを持たなくなればいいと思います。【了】

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2006年4月21日

三宅島も“元気”をアピール

「旅フェア2006」始まる

三宅島も観光のアピールをしていた(撮影:吉川忠行)日本各地の観光地を紹介する見本市「旅フェア2006」(同フェア実行委員会主催)が21日、千葉市美浜区の幕張メッセで始まった。23日まで。

 同フェアは今年で12回目。95年から“ゴールデンウィーク前の風物詩”として毎年開催されている。「目の覚めるような日本へ、行ってきます」がテーマで、全国から観光地、旅行関連企業、交通機関など118団体が出展している。

 会場では、各地域が、温泉や蕎麦などそれぞれの魅力をアピールしていた。昨年約5年ぶりに、噴火の影響による全島避難指示が解除された東京都三宅島のブースには、同島から3人が出展者として参加。アシタバやにおいの強い魚の干物「くさや」など特産品を販売しながら、「島民は元気になってきている。観光客に戻ってきてほしい」と話していた。

 開場時間は、午後10時から午後6時まで。前回までは入場無料だったが、今回から入場料500円が必要。高校生以下は無料。【了】

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旅フェア2006
三宅島観光協会

2006年4月20日

ネット対応AQUOS、5月に発売

32V型地上アナログ録画タイプで35万円から

20日、シャープは「インターネットAQUOS(アクオス)」4機種を5月中旬に発売すると発表した(撮影:吉川忠行)シャープ<6753>は20日、東京都中央区のマンダリンオリエンタル東京で新製品発表会を開き、インターネットやブロードバンド放送がリモコンだけで利用できるパソコン内蔵テレビ「インターネットAQUOS(アクオス)」4機種を5月下旬に発売すると発表した。

 同シリーズは、シャープが1月に発表したアクオスBシリーズと同じ、動画応答速度が業界ナンバーワンの「ブラックASV液晶パネル」を搭載。高画質でハイビジョン放送を視聴しながら、「Web情報」ボタンを押すだけで、見ている番組の関連情報を素早く見つけられる。また、250-500GBのハードディスクに、写真や音楽データを保存すれば、写真を鑑賞しながら、ジュークボックスのようにインターネットアクオスを活用することもできる。

 同社国内営業本部長の大塚雅章専務は「(すでに発売している)AVセンターパソコンは、パソコンコーナーで販売されているが、インターネットアクオスはテレビと一緒に売ってほしい」と話した。“パソコン”というより“テレビ”としての側面を強調し、リビングルームで幅広い年代のファミリーユーザーからの需要に期待している。

 価格はオープンだが、32V型地上アナログ録画タイプで35万円程度、37V型ハイビジョン録画タイプで55万円程度を、同社は想定している。【了】

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シャープ(アクオス)

人身取引の予防教育を体験

IOMがワークショップを開催

19日、UNハウスで開いた「人身取引対策ワークショップ」で、参加者に議論を促すIOMの中山暁雄駐日代表(撮影:吉川忠行)人身取引を予防するための教育を体験しながら学ぶ「人身取引対策ワークショップ」が19日、東京都渋谷区のUNハウス(国連大学本部)で開かれ、教育者やNGO関係者、ジャーナリストなど約30人が参加した。

 同ワークショップは、4月5日から5月10日までUNハウス開催中の「人身取引と世界的な移動展」(国際移住機関=IOMなど主催)の関連イベント。東南アジア諸国で、人身売買に対する若者の意識向上や政府関係者、NGO職員向けのトレーニングなどで実際に使用されているCGアニメ「夢のゆくえ」の一部を鑑賞した後、IOMの中山暁雄駐日代表を進行役として、実地の教育で使われるエクササイズを体験し、理解を深めた。

 IOMは1980年代のインドシナ難民受け入れ支援から、日本での活動を始めた。現在は、人身取引や外国人労働者受け入れ問題などにまで取り組みを拡大させ、一般への啓発活動なども行っている。 【了】

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2006年4月19日

ラトビア首相来日 大使館を開設

19日、日本外国特派員協会で会見するラトビア共和国のアイガルス・カルヴィーティス首相(撮影:吉川忠行)アイガルス・カルヴィーティス首相

ラトビア共和国のアイガルス・カルヴィーティス首相(39)が19日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し「日本とラトビアの外交関係が成立してから15年が経つ。大使館開設は両国関係を強化するために非常に重要」と話し、大使館開設で両国のビジネスと観光が発展することに期待感を示した。

 ロシアとの関係について、カルヴィーティス首相は「91年の独立以来政府レベルでの話し合いは行われていないが、ラトビアは、隣国ロシアとよい関係を築くことに関心が高い。そのために、ロシア側からの歩み寄りが不可欠」と述べた。

 ラトビアに住むロシア人マイノリティーについて問われると「ロシア人は30%おり、マイノリティーとはいえない。政府は彼らが社会にとけこむことを望み、市民権もオープンにしている。ラトビアの歴史とラトビア語の基礎の試験に通りさえすればいい」と答えた。また、ラトビアがEUに加盟したことで、ロシア人の同国への信頼は高まっているし、国際機関の要求を全て満たしており人権などについて問題はないとした。

 同日来日したカルヴィーティス首相は24日まで滞在し、在日ラトビア大使館開設記念行事に参加するほか、小泉純一郎首相および麻生太郎外相と両国関係や国際情勢につき意見交換を行う予定。【了】

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2006年4月18日

シベリアに眠る仲間へ

鳩山氏「厚労省は、熱意ない」

「1991年日ソ捕虜・収容所協定 15年記念シンポジウム」であいさつする鳩山由紀夫衆議院議員と中山太郎衆議院議員らシベリア抑留者に関する情報収集の成果と今後の課題を考える「1991年日ソ捕虜・収容所協定 15年記念シンポジウム」が18日、東京都千代田区の衆議院第2議員会館で開かれ、元シベリア抑留者や抑留者の遺族ら約40人が参加した。

 今年は「日ソ共同宣言」が締結され、両国の国交が回復してからちょうど50年目。また、きょう18日は、15年前に旧ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領が初来日した際に、両国の外務大臣が捕虜問題の早期解決を目指して「1991年日ソ捕虜・収容所協定」を結んだ日にあたる。節目の日に、これまでの情報収集の成果を公表するとともに、協定に調印した当事国政府に状況報告を求めることを目的に、全国抑留者補償協議会がシンポジウムを主催した。

 日露協会会長を務める鳩山由紀夫衆議院議員は、「“領土は逃げないが、人の命は明日をも知れない”として、祖父(鳩山一郎元首相)は北方領土問題未解決のまま、シベリア抑留者の祖国帰還のため日ソ共同宣言の調印をした」と50年前のエピソードを紹介。孫として責任を持って、抑留者問題の解決をしたいとした。また、シベリア抑留者問題を管轄する厚生労働省の職員が、シンポジウムに出席していないことに触れ「残念。(在日大使館員が出席した)ロシアの方が熱意がある。それだけに、政治家として力を入れなければならない」と述べた。

 同協定調停時に外務大臣だった中山太郎衆議院議員は「協定により帰ってきた英霊の遺骨もあるが、2万を超える人の遺骨の行方が分からないままだ。50周年を契機に、進展と解決をはかりたい。抑留者問題の解決は、両国に悪い雰囲気を起こすものではない」と話した。

 同協議会の寺内良雄会長は「体力の衰えを、気力でカバーしながら毎日頑張っている。涙を飲みながら異国の地で眠る仲間のため、全容解明を進め、我々の生存中に決着をつけたい」と訴えた。元抑留者の平均年齢は、80歳を超えているという。【了】

2006年4月17日

米軍再編、市民の声を聞け!

市民団体などが記者会見

17日、日本外国特派員協会で「青い海を人殺しのための基地に変えたない」と話す「海上ヘリ基地建設反対協議会」の安次富浩さん(撮影:吉川忠行)在日米軍の基地再編に反対する市民団体のメンバーや自治体の議員ら5人が17日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、市民の合意なしで進んでいる米軍基地の再編や強化に反対を訴えた。

 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設先に挙がっている同県名護市や、空母艦載機の移転先とされる米海兵隊・海上自衛隊共用の岩国基地を抱える山口県岩国市、原子力空母の配備が計画されている神奈川県横須賀市の市民運動の代表者が相次いで発言した。

 「海上ヘリ基地建設反対協議会」の安次富浩(あしとみ・ひろし)さんは「名護市長と政府が合意した普天間基地のキャンプ・シュワブへの移設の新沿岸案に、ほとんどの名護市民が反対している。青い海を人殺しのための基地に変えたくない。沖縄は昔から、アジアと平和な貿易をしていたが、とりわけ新しい基地を作らせないことを通じて、アジアとの平和関係を作りたい」と話した。

 「岩国住民投票を成功させる会」の田村順玄(たむら・じゅんげん)さんは「3月12日の住民投票では、9割が反対を表明した。これまで岩国は米軍に対し従順だったが、住民の意思に反した基地機能の拡張・強化に黙っているわけにはいかない。合併に伴い行われる23日の市長選で、岩国市民の反対の声をもう一度表現したい」と語った。

 会見した市民団体などは、2月3日に「日米軍事再編・基地強化と闘う全国連絡会」を結成し、米軍基地の縮小、返還のために連携を強化している。【了】

2006年4月14日

日本の成長は女性活用が鍵

新生銀行のティエリー・ポルテ社長が講演

14日、日本外国特派員協会で講演するティエリー・ポルテ新生銀行社長(撮影:吉川忠行)新生銀行のティエリー・ポルテ社長は14日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、「(バブル崩壊以降)東京は金融センターとしては忘れられた場所だったが、最近は中国やインドの市場のように面白い場所になってきた。時価総額が10億ドル以上の会社が661社もあり、その数は他のアジア諸国の合計より多いし、新規上場企業数も順調に伸びている」と、アジアにおける東京の重要性語った。

 ポルテ社長は、日本市場が継続的に発展し、個人投資が市場に信頼を持つ条件として、産業界主導で金融市場に透明性をもたらすことや、日本の金融市場で遅れの目立つIT化を促進すべきとした。

 また、金融業界では顧客の多くが女性であり、女性の活用が重要と指摘。新生銀行ではマネージャー職の女性比率がすでに16%だと紹介した。さらに、女性の社会進出が他の産業でも求められるとし、活躍の機会を増やすだけでなく、退職後に職場復帰することが経済にもプラスの効果をもたらすとの考えを示した。【了】

2006年4月13日

太陽電池に人工衛星技術を応用

シャープ、太陽電池モジュール7機種を発表

シャープ<6753>は13日、東京都千代田区のホテルニューオータニ東京で開いた新製品発表会で、住宅用太陽電池モジュール「サンビスタ」の2006年度モデル7機種を発表した。あす14日から7月1日にかけて、順次発売する。

 うち6機種は、同社が人工衛星用太陽電池で培った設計技術を応用。太陽電池モジュールの配線材に太陽電池セルとの非接着部分を設けることで、熱膨張率の違いで生じる伸縮差を緩和し、耐性を高めた。

 残り1機種は、最新のナノテクノロジーから生まれた厚さ2ミクロンの太陽電池を住宅用として商品化した「住宅用結晶薄膜太陽電池モジュール」。厚みが、広く使われている「結晶シリコン太陽電池」の100分の1で省資源であることや、表面に配線がなくデザイン性に優れていることなどが特徴となっている。

 発表会に出席した同社ソーラーシステム本部長の富田孝司常務は「環境への意識の高まりや、オール電化の促進など、太陽電池市場を牽引する要因が数多くある」と、国内市場の伸びに楽観的な見通しを示した。また、海外での太陽電池の普及については「米国では電力が不足しがちな地域もあり、電力会社からの(太陽電池システム)需要が見込める。中国では、上海など大都市の集合住宅や、新疆ウイグル自治区などで必要とされる」と、電力が安定している国内と海外での需要の違いについて説明した。

 価格は1枚あたり4万8720円から11万8860円。シャープによる、代表的な太陽光発電システム機器構成例では、太陽電池モジュール「ND-153AU」20枚(容量3.06キロワット時)で174万1740円、太陽電池モジュール「NU-162AU」27枚(容量4.37キロワット時)で357万7560円。【了】

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太陽光発電システム(シャープ)

シャープが13日に発表した「サンビスタ」の2006年度モデル(撮影:吉川忠行) ソーラーシステム本部長の富田孝司常務(撮影:吉川忠行)

2006年4月12日

サッポロ、雫で発泡酒回帰狙う

サッポロビールの新商品CMキャラクターの宮藤官九郎さん(左)と、イメージガールの山下奈々さん(撮影:吉川忠行)5月17日に新商品発売

サッポロビール(福永勝社長)は12日、東京都渋谷区の同社本社で新商品発表会を開き、発泡酒の新商品「雫(しずく)」を5月17日に発売すると発表した。

 同商品は、通常の発泡酒よりも麦汁のろ過時間を長くすることで、麦芽のうまみをゆっくり抽出する「スローメイド製法」を採用した。商品の名前にもなっている「雫」を缶上に大きくデザインしたのが特徴で、デザインの視認性を高めるため、缶上部の段をなくした滑らかな曲線の「スムース・ネック」とした。

 同社マーケティング本部長の寺坂史明専務は「新ジャンル(いわゆる、第3のビール)が出て、発泡酒の販売量は下がっているものの、ボリュームはまだある。5月1日の酒税変更で発泡酒カテゴリーへの回帰が起こってくるとも予想している」と話した。

 同社は「雫」を、「麦芽のうまみで発泡酒がすごいことになってきた。」をキャッチコピーに、発売前から演出家の宮藤官九郎さんによるテレビCMと、サッポロビールイメージガール山下奈々さんによるキャラバンなどで、積極的に宣伝していくという。

 350mlと500mlの缶を発売する。価格はオープン。【了】

ユニセフ事務局長、小学生と交流

12日、麹町小学校で児童らに語りかけるユニセフのアン・ベネマン事務局長(撮影:吉川忠行)ベネマン氏、米農務長官時代以来の来日

来日中のユニセフ(国連児童基金)のアン・ベネマン事務局長が12日、東京都千代田区の麹町小学校(小林勇司校長)を訪ね、同校体育館で児童約300人と交流した。

 児童らは、校歌と同校出身の滝廉太郎が作曲した「箱根八里」を元気に歌い、ベネマン事務局長を歓迎。同事務局長は、ユニセフの活動を紹介し「全世界で、日本の人口と同じ1億2000万人の子どもが学校に行きたくても、行けない。朝起きて、その日何が食べられるか分からない子どもや、きれいな水が手に入らない子どもがいる。みなさんは、自分自身がどれほど幸福か、考えてみて」と語りかけた。

 児童代表はお礼の言葉で、「自分だけいい暮らしをしていいのだろうかと思った。僕たちができるのは募金だけではない。いろいろなユニセフ活動に取り組みたい」と話した。

 ベネマン事務局長は、2005年5月に就任後、パキスタンなどの被災地やアフリカ諸国など25カ国のユニセフ支援現場を訪問した。外務省の賓客として9日からきょう12日まで来日している。ユニセフ事務局長としては初来日だが、前職の米農務長官時代に、アメリカンミートのアピールや、米国でのBSE事例発見後の再開合意などのために来日したことがある。【了】

2006年4月11日

共謀罪に10万人分の反対署名

市民やジャーナリストらが国会議員に提出

11日、「共謀罪」の新設に反対する院内集会に出席する民主党の松岡徹・参議院議員(右)と、社民党党首の福島瑞穂・参議院議員法律に違反する行為に合意するだけで、実際には犯罪行為をしなくても処罰の対象にできる「共謀罪」の新設に反対する市民やジャーナリストらが11日、衆議院第2議員会館で院内集会(共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会主催)を開き、請願署名10万2142人分を、民主党の松岡徹・参議院議員ら国会議員に手渡した。

 共謀罪を新設する組織的犯罪処罰法などの改正法案は、03年3月に初めて政府が国会に提出して以来、継続審議を繰り返し、すでに2度廃案になっている。入管法改正案や未決拘禁法案の審議が優先されているものの、与党は今国会での成立を目指している。共謀罪に関する国会での審議は、今月末かゴールデンウィーク明けに始まると予想されている。

 市民団体や日本弁護士連合会などは同罪の新設に反対し、今年になって同様の反対集会を相次いで開催。日弁連は、法律に違反する行為を話し合うことと実際に犯罪行為に及ぶことは全く別だとし、思想に対する処罰にあたるのではないかと指摘している。また、これまでの国会審議でも、規定があいまいで犯罪目的の団体かどうかの判断が警察に委ねられるため、恣意的捜査のおそれがあるとの議論もあった。

 同集会に出席した松岡議員は「与党側は1日も早く審議をしたがっている。悪法を導入するときには必ず、公共の秩序であるかのような諫言(かんげん)を持って提案してくるのが世の常だが、共謀罪もそうだ。私たちの国民社会が大きく様変わりし、戦前の治安体制のような社会に戻ってしまうのではないかと危惧(きぐ)する」と話した。

 社民党の保坂展人・衆議院議員は「署名の厚みを受け止めて、共謀罪廃案に向けて頑張りたい。反対の世論は次第に広がりを見せているが、まだまだ認知度が低く、『凶暴な人間は捕まえなければ』と思う人もいる。細かな内容が伝われば、相当議論を呼ぶに違いない。街頭でも声を上げる必要がある」と語った。【了】

■関連記事
共謀罪「国際的に共通のルール」(2005/7/14)

■関連リンク
共謀罪を廃案に!(盗聴法に反対する市民連絡会)
共謀罪Q&A(法務省)

2006年4月10日

ケータイ画像で写真展に参加

1000人の写真展『わたしのこの1枚』募集開始

東京写真月間2006実行委員会(東京都千代田区)は10日、「東京写真月間」期間中に行われる「1000人の写真展『わたしのこの1枚』」に展示する写真を、一般から募集開始した。

 参加希望者は「東京写真月間」のシンボルマークつき展示ボードを1000円で購入する。性別や年齢を問わず参加でき、題材も自由。プリントされた写真を用意できれば、携帯電話で撮影した“ケータイ画像”でも、作品として認められる。同委員会によると、プロの写真家にも作品提出を依頼しており、素人からプロまでさまざまな作品が並ぶことになる。

 同委員会は、写真の日(6月1日)前後約1カ月を「東京写真月間」として都内12カ所で展示会を開くが、1000人の写真展もそのうちの1つ。ほかに、現代のベトナムの様子と人びとの暮らしを同国の写真家23人の作品により紹介する「アジアの写真家たち2006―ベトナム」なども開催される。

 展示期間は5月26日から29日の4日間。入場無料で、開場時間は午前10時半から午後6時まで。最終日の29日は午後4時まで。問い合わせは東京写真月間2006実行委員会(電話:03-5276-3585)まで。【了】

■関連リンク
1000人の写真展『わたしのこの1枚』(日本写真協会)

2006年4月 7日

オーガニックマルシェは盛況

「第3回オーガニックフェスタ」始まる

欧州や日本各地のオーガニック(有機栽培)食品を集めた祭典「第3回オーガニックフェスタ」(同フェスタ実行委員会主催)が7日、東京都中央区の晴海アイランド・トリトンスクエアで始まった。9日まで。

 オフィスビルの中心にある広いロビーを「オーガニックマルシェ(市場)」と名づけ、ヨーロッパの青空市場の雰囲気を再現した。来場者は店の人と会話を通して、商品について学んだり、買い物したりすることができる。今年は、健康で持続可能なライフスタイル(LOHAS)を紹介するイベント「ロハスワールドスプリング2006」(ロハスワールド事務局主催)も併催され、あわせて54団体が参加。マルシェは活況を呈していた。

 会場には、有機野菜やその加工食品、ワイン、日本酒など、さまざまなオーガニック食品が並び、マルシェの主人たちがそれぞれの「こだわり」について、熱心に客に語っていた。オーガニックビールを出展していたヤッホー・ブルーイング(長野県軽井沢市)の采女(うねめ)隆博さんは「画一的だった日本のビール文化を変えたいと思い、ビール醸造を始めた。味と値段に強くこだわっている」と話した。同社は、オーガニック商品普及のため、その値段を「赤字覚悟で」(采女さん)普通のビールより低くしている。

 天然草木染めのオーガニック作務衣(さむえ)を販売する、NGO「アクセス21」(長野県松本市)の齊藤京子さんは「飲食品を販売する団体が多く、場違いな感じもしたが、飲食以外のオーガニックも知って欲しい」と語った。同NGOは、作務衣の製作をタイのHIV感染者に委託し、販売収益で彼らの就業・自立支援をしているという。

 入場無料。開場時間は、午前11時から午後7時まで。最終日の9日は午後5時まで。【了】

■関連リンク
オーガニックフェスタ

7日からトリトンスクエアで始まった「第3回オーガニックフェスタ」の会場 「飲食以外のオーガニックも知って欲しい」と話すNGO「アクセス21」の齊藤京子さん

2006年4月 6日

写真で見る、中国の“今”

稲越功一写真展『遠い雲、中國』始まる

キヤノンギャラリーSで開催中の稲越功一写真展『遠い雲、中國』中国の“今”を伝える「稲越功一写真展『遠い雲、中國』」が6日、東京都港区のキヤノンギャラリーSで始まった。5月16日まで。

 稲越さんが2000年から06年までに、中国各地を旅行して撮った写真が約60点展示されている。雲南省石林の大畳水瀑布や新疆ウイグル自治区吐魯蕃(トルファン)の高昌故城など、雄大な風景写真のほか、カメラを向けられ恥ずかしがる女性や長期間使われた労働者の長靴など、人びとの生活を写したものも多い。

 入場無料。開場時間は、午前10時から午後5時半まで。日曜・祝日は閉館。問い合わせは、同ギャラリー(電話:03-6719-9021)まで。【了】

■関連リンク
キャノンギャラリー S

人身売買「自分を売らないで」

国際移住機関がポスター展を開催中

UNハウスで開催中の「人身取引と世界的な移動展」で展示されている、人身売買の実態やその防止のための啓発ポスター人身売買の実態やその防止のための啓発ポスターなどを紹介する「人身取引と世界的な移動展」(国際移住機関=IOMなど主催)が、東京都渋谷区のUNハウス(国連大学本部)で開かれている。5月10日まで。

 同展では、IOMが人身売買被害者の出身国で行った啓発キャンペーンのポスター約30点と、パキスタンやインドネシア・アチェなど同機関が実施した災害支援活動の写真などが展示されている。ポスターには「自分を売らないで」「気をつけて、騙されないで」などと、売られる側の子どもに注意を促すものが多いが、「あなたもその1人?」と買う側に警告するものもある。また、人身売買が多発する地帯で、若者の意識向上や被害者の社会復帰支援を目的としたTVコマーシャルやビデオなども、上映されている。

 IOMによると、日本を含め世界のほとんどの国が人身売買に関わっている。一般的に、若い女性や子どもが性的搾取の対象になっているというイメージがあり、被害者の80%が女性、50%が子どもと言われるが、臓器摘出や強制労働のために男性が被害者になるケースもあるという。

 IOMは、人身売買の実態や国際的な犯罪ネットワークの存在について、同展で少しでも理解を深めてもらいたいとしている。19日には中山暁雄駐日代表が、メコン川流域の人身売買を描いたアニメ「夢のゆくえ」を題材としたワークショップを開く。

 入場無料。開場時間は、午前10時から午後5時半まで。土日と5月3日から5日は休館。【了】

■関連記事
存在しない子どもたちって?(2006/3/17)
児童買春 “行動規範”で抑止(2006/3/6)
「日本は人身売買の最大の受入国」(2005/6/6)

2006年4月 5日

国境を自動改札方式にすると

便利さの裏に監視社会への道?

5日、衆議院第2議員会館で開かれた「入管法改正案に意義あり 4・5院内集会」パスポートを自動改札機にかざすだけで、出入国手続きが完了―。ゴールデンウィークや盆休みに海外旅行をして、出入国審査のために成田空港などで長時間列に並んだことのある人なら、魅力的な話に聞こえるかもしれない。

 外務省は3月20日から、ICチップを内蔵した新しいタイプのパスポートの発行を開始した。ICチップには、国籍や氏名、生年月日など旅券面の身分事項のほか、バイオメトリクス(生態識別)情報として顔写真が記録される。偽造・変造や、他人によるパスポートの不正使用防止の効果が期待できるとされる一方で、「利便性ばかり強調されるが、問題点も多い」と指摘する声もある。

 新パスポートの発行が始まった10日後の同月30日、16歳以上の外国人に指紋押捺と顔写真撮影を原則義務化する「出入国管理及び難民認定法」の改正案が衆議院本会議で可決された。これを受け、NGO(非政府組織)関係者や弁護士、国会議員らが5日、東京都千代田区の衆議院第2議員会館で「入管法改正案に意義あり 4・5院内集会」を開いた。同集会で、ICチップ内蔵パスポートの利便性の裏にひそむ危険性が指摘された。

 人権問題に詳しい難波満弁護士は、入管法改正案について、◆プライバシーの問題ともなる指紋提供の義務化に反対◆生体情報のデータベース化と、他の行政機関や外国政府への情報提供に反対◆テロリストの定義を恣意的に解釈できないよう規定することが必要―などと、日弁連の意見を説明。衆議院法務委員会では、入管法改正案についての議論は十分でなかったとした。また、米国の新出入国管理システム「US-VISIT」導入時に、日本政府が日本人の渡航データを出国時に破棄するよう要請したことを指摘し、「外国人情報をデータベース化し、保存しようというのは、矛盾した対応だ」と述べた。

 社民党党首の福島瑞穂・参議院議員は「犯罪予備軍として外国人を扱うのはおかしい。また、外国人は分かりやすい“記号”として使われているだけで、同じことは日本人にも起こりうる」と語った。福島氏は、国境ゲートの自動改札化についても「便利さが強調されるが、外国人の次は日本人も指紋や生体情報の提供が義務化されるかもしれない」と話した。

 同集会の最後には「指紋情報等については、外国人・日本人を問わず、犯罪捜査に利用すると公言されている。目的外使用の最たるものであり、監視社会化を推し進めるものとして、許されることではない」というアピールが採択された。【了】

■関連記事
パスポートもIC化(2006/3/20)

2006年4月 4日

黒烏龍茶「中性脂肪に告ぐ」

サントリー、5月に特定保健用食品のウーロン茶を発売

5月に発売する新商品「黒烏龍茶」を発表するサントリーの古平昭信副社長(撮影:吉川忠行)サントリー(大阪市北区、佐治信忠社長)は4日、血中中性脂肪の上昇を抑える特定保健用食品「サントリー 黒烏龍茶OTTP」を5月16日に全国で発売すると発表した。4月下旬から「中性脂肪に告ぐ」とのキャッチコピーで、大々的に広告展開する。

 「黒烏龍茶」は、カフェイン量は従来品と同様のまま、脂肪の吸収を抑える働きを持つ“ウーロン茶重合ポリフェノール(OTTP)”を70mg含有させたウーロン茶。食事と一緒に摂取することで、食後の中性脂肪の上昇が20%抑制され、OTTPの効果により脂肪排泄効果が約2倍に増加することが実験で確認されたという。

 カテキンが体脂肪を燃やす働きを持つとされるのに対し、OTTPは蓄積すると体脂肪になる中性脂肪が体内に吸収されるのを抑制するという特徴を持つ。

 東京都港区のホテルオークラ東京で開いた記者会見で、同社食品カンパニー長の古平昭信副社長は「今後、健康飲料と海外事業を伸ばす。05年度に260億円だった健康食品・飲料の売上げを、08年度には2倍の500億円にしたい」と意気込みを語った。「黒烏龍茶」の初年度売上げ目標は、55億円(200万ケース)。

 350mlペットボトルのみを発売。希望小売価格は160円。【了】

2006年4月 3日

HUB、買い気配で初日終了

ヘラクレス上場

英国風居酒屋チェーンのハブ<3030>が3日、大阪証券取引所の新興企業向け市場ヘラクレスに上場した。初値はつかず、公募価格14万円の2.35倍の32万9000円の買い気配で初日の取引を終えた。

 同社は、英国風居酒屋を日本風にアレンジした「HUB」を、首都圏を中心に現在36店舗展開しており、学生やサラリーマンが気軽に立ち寄り、楽しく過ごせる「心の交流を持てる場」を目指している。

 渡英時に英国のパブ文化に感動したダイエー創業者の中内功氏が、1980年にダイエーの100%子会社として同社を設立した。その後、本体の経営不振の影響で、2002年にハブ株の72%を加ト吉グループ<2873>に、27%を21LADY<3346>にそれぞれ譲渡。加ト吉の連結子会社、21LADYの持分法適用会社となった。【了】