”萌え~”は、若者世代の新しい感嘆詞!?
最近、テレビや雑誌などでよく見かける“萌え”という言葉。意味は何となく分かる気もするが、実際に使ったことがないため、どういう場面で発するものなのか、いまいちつかめない。誰が、いつ、どこで“萌え”るのか。オタクの聖地秋葉原で、萌えの世界を探った。
“萌え”の対象は「限定的」
秋晴れがさわやかな日の夕暮れ時、ライブドアでコスプレサイト「Cure」を担当する長永由紀さんと、秋葉原へ行った。
最初に訪れたのは、アニメキャラクターをかたどった人形(フィギュア)などを販売するホビーショップコトブキヤ秋葉原店。店内には無数のフィギュアが並べられており、いきなり圧倒された。趣味で作ったプラモデルの大作を、サンプルとして店内に展示している赤星陽一店長に聞くと、「精巧なフィギュアを作るにはかなりの技術が必要です」とのこと。
手がかかっているだけあって、値が張る。中には何万円というものもあった。これでは、収集するのも大変だなとつぶやくと、長永さんが「“萌え”というとき、対象は絞り込まれていて限定的。数を集めるというより、“萌え”る1つのものにお金をかけるんです」と話していた。
買った商品を箱から出さない人もいると聞いた。「なんで?」と思うのは、まだ“萌え”ていない証拠なのか。「箱入り娘」ということなのだろうが。
“萌え”たキャラには、なりきりたい!
次に向かったのは、ファンが自分でサイドストーリーを書いた漫画や小説の同人誌などを販売するまんだらけ秋葉原店。数万点の同人誌が所狭しと並べられている。店内では、仕事帰りのサラリーマンや学生風の男性が、自分の趣味に合うものを熱心に探していた。同人誌も価格の幅が広い。長永さんによると、人気や発行部数で値段が決まる。“プレミアム”がついた同人誌は、1万円を下らない。また、どの同人誌も薄いのが特徴だ。買う前に中身をみることはできず、サンプルとして1ページのコピーが添付されたものが多かった。予備知識がないと、何をどう選べばよいか全く分からない。
店内で変わった衣装を着る女性がいた。同店の店員の桃花さん(コスネーム=コスプレをするときの名前のこと)だった。コスプレとは、漫画やアニメなどの登場人物と同じ格好をし、その人物になりきること。桃花さんは、今“萌え”ている小説のキャラクターの衣装を着て、仕事に励んでいるそうだ。彼女は「自分にしっくりするものを着たい」ので、既製品を買うよりも、衣装を自作することを好む。
激しい感情の高ぶりが“萌え”
カルチャーショックだった。
見知らぬ世界を垣間見た僕は、少し疲れた。そんな僕を見て、長永さんが連れて行ってくれたところは、メイド喫茶ガーデンフェアリーというところ。休めるのかなぁと思いながらも、後に付いて入店した。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
入るなり、そんな声が聞こえ、動揺した。屋敷に戻ってきた主人を、エプロンドレスを着たメイドが迎えるのがメイド喫茶の設定らしい。漫画やゲームでこのスタイルが流行となり、今やコスプレの主流ともなっているとか。 カルチャーショック!
カルチャーショック!
店内はいたって普通だった。値段もほかの喫茶店とほとんど変わらない。違うところと言えば、店員が客と話すことを前提としているところだろうか。物珍しさと会話を求めて、客は後を絶たない。男性客だけでなく、女性客やカップルもいた。
ポイント制を取っている店も多いという。何度も来店し、ポイントをためると、メイドの女の子と一緒に写真を撮れるという。その時点で、すでに主従逆転しているようにも思うが、この際そうした矛盾には目をつぶろう。ウエイトレスをしていた女の子に“萌え”について聞いてみると、「自分がかわいらしい格好をすることに“萌え”ている」という。客が“萌え”るだけではなく、働く側も“萌え”る気持ちを持っている。これは大きな発見だった。 ―「かわいい」「気に入った」「愛してる」―。
このような、人に対しても、自分に対しても、ストレートに言いにくい言葉を、“萌え”と表現しているのではないか。ある一部に対する、激しい感情の高ぶり“萌え”。これは若者の新しい感嘆詞といえるのかもしれない。【了】
今回の記者 佐谷 恭(SATANI, Kyo)
ライブドア・ニュースセンター記者。
“萌え”つき症候群