激安チケット発見!

 

 ヨーロッパには格安航空会社が多数存在するとは聞いていたが、ここまで安いとは思わなかった。インターネット上で広告を見つけ、半信半疑でアクセスしてみると・・・。

 「航空券、無料!」

 無料というのはウソだった。しかし、多くのチケットが片道1ペンス(約2円)で売られていた。我が目を疑った。何度も目をこすり、ウェブサイトを確認したが、どうやらこの値段で間違いないらしい。僕は衝動的に申し込むことにした。最寄のLeeds/Bradford空港からはDublin行きの飛行機が出ていた。Dublinに行こう。

 平和学を学ぶために9月中旬にブラッドフォードへとやって来たが、するべきことが多すぎて平和について考えるゆとりがないまま日々が過ぎ去っていた。しかし、「平和を欲するなら平和に備えよ(Si vis pacem, para pacem)」という考え方が平和学の根幹にある、と教えてくれた平和学部はさすがだった。忙しすぎる日々を送っている学生に、ひとときの平和をプレゼントしてくれたのだ。
 ファースト・セメスターが半ばに差し掛かった第7週、僕らはReading Weekという名の休暇が与えられた。文字通りに解釈すれば「読書週間」であるが、この期間に少し心を落ち着かせ、再び始まる忙しい日々に備えるための週でもあるのだ。僕は心の平和を取り戻し、今までの自分を客観的に見つめなおすため、ブラッドフォードを離れることに決めた。(というのはけっこうウソで、学校が始まる前のオリエンテーションでReadingWeekの存在を知った僕は、その瞬間からどこかへ旅行しようと決めていた。:-)

 チケットを取ったのはこれから生まれて初めての本格的英文エッセイ(4000〜5000語)をまさに書き始めようとしていたときで、周りのみんなもナーバスになり始めている時期であったが、往復2ペンスでダブリン行きのエアチケットを手に入れた僕は、翌日からすぐに友人たちに自慢した。
 この話を聞いて同じコースの韓国人と日本人の女の子が安いチケットでダブリンに行きたいと言い出した。しかし、その「ほぼ無料キャンペーン」はあっという間に終わっており、二人は40ポンド(約8000円、それでも安いが)支払わなければならなかったが、行くことに決めた。一度旅行しようと思うと、その衝動は抑えられないものである。
 無料で航空券を手に入れた僕は、40ポンド支払う客を二人連れてきたことになる。これは格安航空会社のマーケティング戦略にまんまとはまった結果なのかもしれない。巧みに値段を変動させて客を旅行に誘いこむこの戦略は天晴れである。その結果かどうかわからないが、飛行機は行きも帰りも満席だった。多くの人を旅行したい衝動に駆らせ、しかも激安で移動手段を提供する航空会社乾杯

* 航空券代は往復2ペンスですが、空港税等を航空券購入時に支払う必要があります。今回僕は全部で£25.6支払っています・・・。上記の二人にもこれは加算されます。

 

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