AnotherWorldCup!
2002夏:佐谷恭
地下鉄にて、警官にキレる前回書いた警官の話の続き。 警官の悪行は、とくにモスクワとタシケントでひどい。警官をあしらうことにも随分慣れたつもりだった旅の中盤、タシケントでは彼らに随分悩まされた。 安宿を探すためにバザール周辺を歩いていると、警官から職務質問を受けた。「どこから来た」という質問から始まり、パスポートを見せると「今までどこへ行った」という質問に切り替わった。 パスポートに貼ってあるビザや、色とりどりのスタンプを見て警官はやや興奮気味。「これはどこの国のものだ」「イランではペルセポリスを見たか」「ラトビアの経済はどうだ?」などと、興味本位で質問してくる。朝9時に始めた宿探しは午後2時を過ぎても終わらない。というか、警官としゃべってばかりで、宿が探せていなかった! ヒマ潰しにはいいんだけどね…。用事があるときには話しかけてほしくないものだ。 さて、地下鉄には異常なほどの数の警官がうろついている。入り口にも、改札のようなところにも、階段の上下にも、プラットフォームにも…。そしてそれぞれが、僕を見つけては職務質問したがる。 タシケント中心部のNavoi駅にいたときのことだと思うが、地下に潜って電車に乗るまでに、6回も職務質問され、そのうち2回も“別室”に連れて行かれたことがある。今思うと完全にギャグである。 しかし、その当時は彼らへの対応に一生懸命で、余裕もなかった。悪いことは何もしていないのだけど、警官への警戒心と猜疑心が極めて高かったので、パスポートを見せろと言われても渋ったり、別室に来いという要求に従わなかったりした。結果として、彼らをあしらうのに時間がかかってしまうのだが、地下鉄の警官はなぜか太陽の下にいる警官と違って、自らの興味よりも形式にこだわる者が多く、交渉は難航した。 「さっき、俺がそこで別の警官と話しているの見ただろ!」 職務質問された直後に、数十メートル先でまた別の警官に声をかけられる。この人たちは何を求めているのだろうと不思議に思い、全然先に進めない自分に悲しくなったりもした。 5回目の職務質問で、再び“別室”に行くことになった。「さっき行ったんだ!」と主張しても、受け入れてくれない。拒否の姿勢を貫くも、半ば強制的に、僕は30分前と同じ部屋に入った。先刻と同じ係官がいた。 「ミスター、また来たのか」 呼んだのはそっちだろう! 1度目にリュックの中身を全部見たんだから、30分後にまた開ける必然性はない。しばらく警官同士が僕には分からない言葉で会話を交わした後、「帰っていいよ」と解放された。 そして、また、プラットフォームにて。 「この野郎! 全然分かってないな! 話を聞きたければ、俺の宿に来やがれ」 突然の大声に怯んだ警官を背に、ようやく地下鉄に乗り込んだ。
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